ジム・ケラーの新会社が日本上陸 AMD、Apple、Intelを渡り歩いた天才の技術でプロセッサをデザイン
ジム・ケラー氏がCEOを務めるカナダTenstorrentが日本に上陸した。AI用プロセッサの販売やRISC-Vプロセッサのカスタマイズなどで日本市場を開拓する。
AMD、Apple、Intelと、米大手IT企業を渡り歩きプロセッサの開発を手掛けてきた天才、ジム・ケラー氏の設立した会社・カナダTenstorrentが、日本に上陸した。AIフィーバーの真っただ中ともいえる日本市場で、AI用プロセッサ・RISC-Vプロセッサに関する事業を展開していく。
Tenstorrentは2016年設立のスタートアップ。しかし、CEOのジム・ケラー氏だけでなく、CCO(最高顧客責任者)もレノボ・ジャパンやNECパーソナルコンピュータの社長を歴任してきたデビット・ベネット氏と豪華な面々だ。日本法人のテンストレント・ジャパンは1月18日に設立。代表取締役社長にはこれまでHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)業界で実績を積んできた中野守氏が就任した。
テンストレント・ジャパンの主な事業はプロセッサのデザインだ。同社ではディープラーニングなどのAI技術に特化したサーバや拡張ボードといったハードウェアを販売する他、オープンソースの命令セット「RISC-V」ベースのプロセッサやチップセットを顧客のニーズに合わせて設計し、IPとして提供していく。
現在、AI開発においてはGPUがアクセラレータ(高速化パーツ)として使われている。CPUに加えてGPUを使うことで学習や推論などの処理を高速化できる。テンストレント・ジャパンはこのアクセラレータとして独自のデバイスを提供するのが事業の一つだ。
中野社長は3月28日の事業説明会で、「米国に次いで日本を市場開拓の場所にする」と意気込みを見せた。活用例としては自動車業界を挙げた。車載デバイス上でリアルタイムにAIを運用する場合や、データセンターにおける学習やアプリケーションなどの処理にテンストレント・ジャパンの技術を生かせるとしている。
今後はプロセッサの高性能化と小型化などに向けて開発を続けるとしている。
関連記事
- IBM PCから41年、そして現在へ PCとは何だったのか、改めて考える
23回にわたって連載してきた「PCの変遷」。最終回は、Intel vs. AMDの競争激化によるRISC陣営弱体化と、Arm、RISC-Vの台頭、そしてPCアーキテクチャとはいったい何だったのかという問題を考えます。 - 著名CPUエンジニアのジム・ケラー氏、カナダの新興AI企業TenstorrentのCTOに就任
AMD、Apple、Tesla、Intelで幹部を歴任したCPUエンジニアのジム・ケラー氏が、機械学習向けプロセッサを手掛けるカナダTenstorrentにCTO(最高技術責任者)として迎えられた。 - 「人間関係構築が難しい」「ITに無縁なんだけど」――テレワークの課題にIT企業代表者はどう答えるか
コロナ禍で浸透したテレワークだが「人間関係構築が難しい」「ITに無縁の企業はどうすれば」といった課題も存在する。レノボ・ジャパン、ZVC、サイボウズ、アステリアのトップが集まり疑問に答えた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.