KDDI、ソフトバンクもサービス開始 そもそも「デュアルSIM」って何だ?:房野麻子「モバイル新時代」(2/3 ページ)
スマートフォンの「デュアルSIM」機能を利用すると、片方に通信障害が起きた場合に、もう片方の通信会社の回線に切り替えて、音声通話やデータ通信を利用できる。改めてデュアルSIMとは何かを整理し、利用時の注意点、課題などをまとめてみたい。
物理SIM+eSIMが増加
デュアルSIMとは元々、2つのSIMカードスロットを持つ携帯電話の機能のことだ。デュアルSIM対応の携帯電話なら、1台で、必要に応じて利用するネットワークを切り替えて使うことができる。
国境を比較的簡単に超えられるヨーロッパ圏などでは、それぞれの地域で異なる事業者のネットワークを使う必要があることから、昔からお馴染みの機能だった。また、プリペイド方式の携帯電話が多い国では、かける相手によって切り替えて発信したり、家族で1台の端末を共用したりする場合などに利用されているようだ。
日本では13年から14年頃、海外メーカー製のSIMフリー端末でデュアルSIM対応端末が販売され始めた。
当初は、2枚のSIMカードを挿せるものの、待受は片方しかできず、利用するSIMを手動で切り替えるDSSS(デュアルSIMシングルスタンバイ)と呼ばれる使い方だった。それが両方のSIMで同時待受ができるDSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)になり、その後、両方のSIMが4G(VoLTE)に対応するDSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)に進化した。
現在販売されているデュアルSIMスマホはほぼDSDVだ。また、AppleのiPhoneが物理SIMと組み込み型のeSIMでデュアルSIMを実現して以降、この物理SIM+eSIMのデュアルSIMに対応するスマホが増えてきている。
eSIM(Embedded-SIM)とは、SIMカードに相当する機能が端末に内蔵されているもの。SIMに書き込むプロファイルと呼ばれるデータを遠隔でダウンロードして利用する。物理カードの受け渡しや郵送が不要になるので、基本的に24時間、いつでも回線の利用開始手続きを行うことができる。
最近では物理的なSIMカードを入れるスロットを省き、すべてeSIMで対応するスマホも登場し始めている。
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