自転車ヘルメット努力義務化、4月1日から シェアサイクルの対応はどうなる?(3/3 ページ)
4月1日に施行される改正道路交通法で、全ての自転車利用者のヘルメットの着用が努力義務となる。シェアサイクル利用に当たってはヘルメットを誰がどう用意することになるのか、現状を整理した。
屋外に車両を設置する"シェア交通"サービスで、ヘルメットを全車両に準備した事例は全く無いわけではありません。車両のカテゴリーは異なりますが、電動キックボードの「WIND」は、埼玉スタジアム近くの浦和美園駅付近に設置した電動キックボードについて、当時は原動機付自転車(いわゆる原付バイク)と同様に扱われ、ヘルメットの着用が義務付けられていたため、事業者側でヘルメットを全車両に用意していました。補足しておくと、この時に同エリアで導入されていた車両は20台から30台程度で、大規模なシェアサイクルと比べれば規模は小さいものです。
話をシェアサイクルに戻すと、「事業者が全ての自転車利用者にヘルメットを提供する」方法での解決策は短期的には実現が難しいため、利用者が確実にヘルメットを着用するには、利用者自らヘルメットを用意する必要があります。とはいえ、シェアサイクルと電車やバスを乗り継いで移動する場合などには、ヘルメットを持ち運ぶ負担が大きくなります。
ほかにも、成人のヘルメット着用が進まない理由には、自転車用ヘルメットがそもそも"ダサい"とか、運転者自身がそれほどスピードを出して運転するわけではないとか、普段から慣れた近所の道だけの移動手段であり本人の中でヘルメット着用の優先度が上がらないなど、さまざまな理由が考えられます。
正直なところ、筆者も4月の法改正後でヘルメットの着用率が短期間で急上昇するとは思っていません。それでも、業務で自転車を利用する人や、警察官など公機関の職員が職務で自転車を利用する際にはヘルメット着用が進むでしょう。街中の自転車でヘルメット着用を見慣れるようになれば、長期的には自転車でのヘルメット着用が当たり前になるかもしれません。
ヘルメットに購入助成金も
筆者自身は自転車で長距離を移動する機会は多く無く、基本的にはいわゆる“ママチャリ”ユーザーに近い使い方をしていますが、それでも所有する自転車を運転する際にはヘルメットを着用しています。
その理由は、自らが事故を起こさない・遭わないようにする努力には限界があるからです。周囲の車や歩行者などの道路利用者の不注意などで事故に巻き込まれたりするリスクを完全には排除できず、事故にあった際に身体(特に頭部)への影響をなるべく小さくするために準備できる、簡単な自衛手段だからです。4月からのヘルメット着用努力義務化によって、直ちに一般の自転車利用者に大きな影響を及ぼすとは考えにくいのは正直なところですが、事前にできる備えはしておいた方がいいでしょう。
東京都23区内を例に紹介すると、現時点で目黒区と足立区が、自転車用ヘルメットを購入する区民に対する購入助成を行っています。助成金の金額はどちらの区も2000円で、区内の在住者が対象です。ヘルメット購入に当たっては、こうした助成金などの制度が無いか確認することをオススメします。
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