ここがヘンだよ、地方公立高校のパソコン“1人1台”事情:小寺信良のIT大作戦(4/4 ページ)
高校のGIGAスクール構想に基づいた個人端末の導入は、宮崎県では保護者負担で導入することが決まっている。子どもが持ち帰った入学準備資料には、合格者説明会の日に使用端末についての説明があるとされていた。端末の価格だけは決まっていて、5万8410円なのだそうである。
「ありえないでしょ」があり得る教育現場
学校側も、導入端末について何をどこまで説明するのかということに関しては、悩ましい立場だろう。あまり説明しすぎても「分からない」として余計疑問が増えるという可能性もある。「もうこれで決まってますのでお願いします」で乗りきってしまいたいというのも分からないでもない。
だが、それは「公的な教育機関がやるべき対応なんですかね?」という気がする。これ、生徒にもそんな調子で細かいことは説明せず「いいからやれ」という調子では困る。
また3年間使用した端末は、3年後にどうなるのかも分からない。端末は保護者がお金を払っているので、そのまま持ち帰りになるだろうが、子どもの成果物は全て教育委員会発行アカウントのクラウド上にある。これは持ち帰れるのだろうか。3年間の学習成果や制作物は、全て点数にカウントされて通知表や内申書に反映されているからOK、というわけにいかないのではないか。
また持ち帰った端末は、教育委員会のアカウントを抜いて、自分のアカウントを入れる事になるわけだが、そうした指導はあるのだろうか。子どもができなければ保護者がやるしかないが、そうしたことができない保護者も多いだろう。
いわゆる端末の「卒業処理」みたいなことは、もう今年3月からすでに問題になっている。セキュリティの観点から、学校で作った成果物は個人のPCへのデータ移行が認められないというのだ。
普段からITの上で仕事をしているわれわれからすれば、「そんなのありえないでしょ」と思うことが起こるのが、教育現場である。子供たちにICTを教えるより先に、ICTの常識を教育委員会に学んでもらう必要があるのかもしれない。
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