マネフォ、再び決算上振れ 家計簿ソフトMEの課金ユーザーは急増
マネーフォワードが発表した第1四半期決算は、SaaS ARRが前年同期から42%増加して182.8億円となった。連結売上高は67.9億円、EBITDAは当初の12〜17億円の赤字予想から上振れして7億円の赤字となった。「順調な滑り出しができた」と辻庸介社長。
マネーフォワードは4月14日、2023年11月期第1四半期(12-2月)の決算を発表した。最も重視するKPIであるSaaS ARRは、前年同期から42%増加して182.8億円となった。連結売上高は67.9億円、EBITDA(利払い前、税引き前、減価償却前)は当初の12〜17億円の赤字予想から上振れして7億円の赤字となった。
「順調な滑り出しができた」と辻庸介社長。
業績の中心である法人向け事業は、売上高46%成長で引き続き高成長を継続した。変化があったのは、コンシューマ向けの家計簿ソフト「マネーフォワードME」を中心とするホーム領域だ。
課金ユーザーは四半期で5.7万人増加し、46.1万人に達した。これにより売上高の伸びは見通しよりも11ポイント上振れし、対前年比37%増となった。その原因は、無料で提供するサービスの縮小だ。これまで無料ユーザーは10個の金融機関と連携できていたが、22年12月に4個に削減。一部のユーザーが課金にかじを切った。
このような理由のため、課金ユーザーの伸びは一時的だ。その後、2月には投資家に特化した月額980円の「資産形成アドバンスコース」もリリースしている。これがユーザーに受け入れられるかが、継続的な成長継続のための試金石となりそうだ。
フィンテックサービスがジワジワ拡大
近い将来、次の収益の柱と見込む「SaaS x Fintech」領域の拡大も進んでいる。法人向けカードサービスの「Pay for Business」は、発行枚数が20万枚を超えてきた。既存の顧客基盤を生かすことで「26万社と会計事務所基盤を生かし、コストをかけずに利用者を増やせる」(辻氏)点が、同社の優位性だ。
また4月には請求書のカード払いを可能にする「マネーフォワード 請求書カード払い for Startup」の提供も開始し、順次フィンテックサービスのラインアップを拡充させている。
会計システムのデータを生かした与信機能の提供や、会計システムにフィンテックサービスを組み込んだエンベデッドファイナンスの開発によって、既存の製品と相乗効果を生み出す狙いだ。
これらフィンテックサービスの収益は、現状四半期で6.5億円程度の法人向けフロー売上に含まれており、対前年比46%増の成長を牽引している。
関連記事
- マネーフォワードケッサイ、資金繰りを改善するBPSP「マネーフォワード 請求書カード払い for Startup」提供開始
マネーフォワードケッサイは、オリエントコーポレーション(オリコ)と提携し、請求書カード払いサービス「マネーフォワード 請求書カード払い for Startup」をスタートアップ向けに提供開始した。 - マネフォ、企業の送金プラットフォーム提供へ Fintech戦略をアップデート
マネーフォワードが金融サービスの組み込みを加速させる。3月3日、同社は「SaaS×Fintechサービス」の戦略について発表し、強みである会計などSaaS型ERPに、金融サービスを組み込む方針を明らかにした。 - 配当金も見える化 マネフォMEに投資家向け有料プラン「資産形成アドバンスコース」
マネーフォワードは2月27日、家計簿アプリ「マネーフォワードME」に新有料プラン「資産形成アドバンスコース」の提供を開始した。 - マネフォ通期決算は再び上振れ 45%成長のARR163億円に 次の成長戦略は金融サービス
拡大する市場に向けて、大きく投資のアクセルを踏んだマネーフォワードだが、ARRは45%成長の163億円に達した。今後、金融サービスのトランザクション収益創出に注力する。 - マネーフォワードMEの課金ユーザー爆増 無料の連携数削減で 12月は1.3万人増加
「マネーフォワードME」の無料連携数に変更があった12月には、有料課金のプレミアムユーザー数が激増し、単月で1.3万人増加した。 - マネフォがDB統合の方針転換、freeeは機能を個別提供へ インボイス制度が契機に
マネーフォワードは、取引先マスターや従業員マスターなど各種のデータベース(DB)を統合していく計画を明らかにした。1つのマスターDBに対し、各プロダクトがアクセスできる形を採る。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.