イーロン・マスク氏、X.AI社をネバダ州で登録 OpenAI対抗か
TwitterをXという企業に統合したイーロン・マスク氏が、Xと同じネバダ州にX.AIという新企業を設立したと複数のメディアが報じた。同氏はDeepMindなどのトップエンジニアに参加を呼びかけているという。OpenAIのアルトマンCEOはこの報道に「Concerning」とツイートした。
起業家のイーロン・マスク氏がChatGPTを手掛ける米OpenAIと競合する新しいAI企業を立ち上げる計画だと、米Financial Timesが4月15日(現地時間)、この件に詳しい複数の関係者からの話に基づいて報じた。また、米Wall Street Journalは14日、マスク氏が3月にX.AIという企業を設立したと、ネバダ州の事業届け出文書に基づいて報じた。(ネバダ州には法人所得税に当たる税金がないなど、企業設立に有利な州として知られている。)
文書では、マスク氏がX.AIの唯一の取締役となっているが、企業の目的は記載されていないという。法人化手続きをしたのはマスク氏の秘書として同氏の個人資産を管理するジャレッド・バーチャル氏となっている。
マスク氏は生成系AI関連の新プロジェクトのために米NVIDIAから大量の構成のGPUを購入したとうわさされている。マスク氏は英BBCのインタビュー後の「スペース」でのQ&Aで、「TwitterとTeslaはたしかにGPUを購入した」と認めた。
Financial Timesによると、マスク氏は米Google系列のAI企業DeepMindの元従業員であるイゴール・バブシュキン氏などのトップエンジニアを採用しているという。
マスク氏はまた、この新プロジェクトに投資するよう同氏がCEOを務めるSpaceXとTeslaの投資家に持ちかけているという。
マスク氏はネバダ州でXという企業も設立しており、買収した米Twitterを同社に統合したことが4日に明らかになっている。
同氏はTwitterを買収した昨年10月、「Twitterの買収は、すべてのアプリであるXの開発を促進するものだ」とツイートしている。
一方マスク氏は、OpenAIによる「GPT-4」より強力なAIシステムの開発と運用を少なくとも6カ月間停止するように呼びかける書簡に署名している。
OpenAIのサム・アルトマンCEOはWall Street Journalの記事のツイートに「Concerning」(「興味深い」という意味とも「心配している」という意味ともとれる)とリプライし、直後に笑い転げる顔の絵文字をツイートした。
関連記事
- Twitterのマスク氏、BBCのインタビューで「Twitterを買ったのは訴えられたから仕方なく」
Twitterのイーロン・マスク氏は本社ビルでBBCのインタビューに応じた。「経営は「ジェットコースターのようだ」が状況は「順調だ」と。同時に配信した「スペース」では「Xアプリ」構想にも言及した。 - イーロン・マスク氏、生成AI用に約1万個のGPUを購入か AI開発の停止要請に署名したばかり
イーロン・マスク氏が生成AIを開発するために約1万個のGPUを購入したと、複数の海外紙が報じた。 - Twitter社消滅 イーロン・マスク氏の「X社」に統合
米Twitter社が、イーロン・マスク氏の保有する「X Corp.」という名前の企業に統合され、企業としてすでに存在していないことが分かった。カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所などで開かれている訴訟において、提出された資料から判明した。 - 「GPT-4より強力なAIの開発を直ちに停止せよ」──公開書簡にマスク氏やウォズニアック氏が署名
非営利のAI研究組織FLIは巨大AI実験の一時停止を求める書簡を公開した。「GPT-4より強力なAIの開発を少なくとも6カ月停止せよ」としている。マスク氏やウォズニアック氏、「サピエンス全史」のハラリ氏などが署名済みだ。 - イーロン・マスク氏に翻弄された2022年を振り返る
2022年は海外速報担当の筆者にとってはイーロン・マスク氏に翻弄された年でした。同氏によるTwitter買収の顛末をまとめておきます。2023年にTwitterがなくなることはないでしょうが、現状で抱える爆弾についても触れます。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.