「紙スマホ」で過ごす休日はいかが? 脱デジタルの“奇策”3つが面白い:遊んで学べる「Experiments with Google」(第36回)(3/3 ページ)
スマホやPCに頼りっきりな毎日。休日くらい“脱デジタル”を――見つけたアイデアは「紙スマホ」「スマホを封筒に隠す」など面白いものだった。詳しく紹介する
ネットサーフィンが“潜水”に Webページを潜っていく拡張機能
スマホの使いすぎは、Paper PhoneとEnvelopeで対策できそうだ。次はPCの使いすぎを何とかしよう。
PCでよくやる失敗は、仕事の調べ物をしていたはずなのに、面白いコンテンツに次々アクセスして時間を無駄にすること。特に、楽しいネットサーフィンやWebページに終わりがないSNSは、画面を延々とスクロールし続けてしまいがちだ。
長いWebページや終わりがないSNSのタイムラインに、人為的に「底」を作って強制的にアクセスを止められるようにしようという発想で作られたのが、Chrome拡張機能「Anchor」だ。
船のいかりを意味するAnchorをChromeに追加して、Webページを開いて下へ下へとスクロールしていくと、海へ潜るように画面がだんだん暗くなる。そのうち魚やクラゲが現れて邪魔をし、画面が見えにくくなる。そしてとうとう岩がゴロゴロした海底に達する。そうなると、それ以上スクロールできないので諦めるしかない。無意識なスクロールができなくなるので、これなら正気に戻れるだろう。
実際に使って効果を確かめてみる。まずGitHubで公開されているソースコードをZIPファイルでダウンロードして展開する。続いてChromeで「chrome://extensions」を開いて拡張機能の管理メニューを出し、「デベロッパーモード」をオンにした状態で「パッケージ化されていない拡張機能」から読み込む。これで準備が完了した。
Anchorを使うときは、きちんと拡張機能を有効化したかどうかの確認が大切だ。これを忘れて有効になっているつもりで安心していると、いつまでも底に到達しない。せっかくAnchorをインストールしたのに、意味がなくなってしまう。
試しに選んだのは、とにかく長いWikipediaの項目「英雄伝説 軌跡シリーズの登場人物」というWebページ。
最初のうちは正常に表示されているのだが、水深が深くなるにつれ画面の青みが増した。さらに潜ると、クジラのような大きな生き物に遮られて、表示が隠されて読めたものでなくなる。水深10mが海底らしく、どんなに頑張っても下へ進めなかった。
集中して仕事するときや、時間を有効活用したいときには、Anchorをオンすると良さそうだ。
脱デジタルで人生の価値アップ デザインとアイデアで実現
Paper PhoneとEnvelopeを開発したのは、デザイナーとマジシャンが設立した英国の団体Special Projectsだ。デザインと発明で人生の価値を高めることを目標に掲げており、スマホの使いすぎを防ぐアイデアとして、まずPaper Phoneを開発した(開発背景)。その後、スマホとは別にシンプルな携帯電話をデジタルデトックス手段として持ち歩く人が多いという調査データからEnvelopeを思い付いたそうだ(開発背景)。
また、Anchorは英国とカナダを拠点にするデジタルデザインTwomuch Studioと複数のデザイナーが協力して作った。公開されている拡張機能は深海に潜っていくイメージを形にしたものだが、洞窟探検やパラシュート降下、地面に穴を掘るというアイデアも考えられるという。
このように、脱デジタルという視点でテクノロジーを見てみると、新しい発想が生まれるかもしれない。いずれもGitHubでソースコードが公開されているので、自分好みに改造してデジタルウェルビーイングを目指そう! まあ、休日にソースコードをいじってたらデジタルデトックスは難しいかもしれないが……。
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