AI開発に挑戦したい! PC・ワークステーションは何を選ぶべき? 用途や目的別に解説(2/2 ページ)
PCやワークステーションは、AI開発において推論だけでなく学習にも使われる。AIを活用した新たなプロダクトを開発することも可能で、エッジデバイス以上にさまざまな用途に使われる。その中から、特に代表的な製品を紹介する。
本格的なAI開発のためのワークステーション
実はAI開発用とうたっているPCはあまり多くなく、日本HPなどの大手メーカーがAI開発用として発売している製品のほとんどが、サーバ/ワークステーション向けのCPUを搭載したワークステーションである。
また、ディープラーニングを行う場合、GPUがアクセスできるメモリ容量(VRAM)が重要になる。上位のGPUは、演算ユニットである「CUDAコア」の数が多いだけでなく、メモリ容量も大きいため、より大規模なモデルの学習が可能になる。AI開発用ワークステーションはマルチGPU構成を採用した製品が多いため、GPUを追加することで全体性能を向上できる。
ここからは用途や目的別にワークステーションを紹介する。
すぐにAI開発を始めたい
ストレージメーカーであるニューテック(東京都港区)が販売している「Cludy DP-Analysis」は、CPUに「Xeon Silver 4210」、GPUに「RTX A6000」を搭載したAI開発用ワークステーションだ。OSは「Ubuntu 20.04 LTS」で、TensorFlowやKeras、Theanoなどの代表的なAI開発フレームワークの他、ノーコードAI開発ツール「Deep Analyzer」などがプリインストールされている。
アプライドのAI開発用ワークステーション「CERVO Deep Type-DPXXS-Q」は、CPUに「Xeon Silver 4210R」を2基、GPUに「RTX A5000」を2基搭載。OSには「Ubuntu 20.04」を採用し、NGCやTensorFlow、Pytorch、ChainerといったAI開発フレームワークがプリインストール済みで、すぐにAI開発を始められる。
大規模モデルを開発したい
日本HPでは、Ubuntuとデータサイエンス/AI開発用のツールをプリインストールしたワークステーション「Z4G4」や「Z8G4」を発売している。最上位モデルであるZ8G4は、CPUに「Xeon Gold 5222」を2基、GPUに「RTX A6000」を2基搭載しており、大規模モデルを利用したAIの開発にも適した製品だ。
大容量データを取り扱いたい
HPC専門のSIerであるHPCテックの「HPCT WRSX32-4GP」は、高性能なAI開発用ワークステーションであり、CPUとして第3世代「Intel Xeon Scalable Family」を2基搭載する。GPUは、最新の「NVIDIA A100」や「RTX A6000」「RTX A40」などを最大4基搭載可能だ。また、3.5インチホットスワップベイを8スロット(4ベイはNVMe対応)備えており、大容量データの取り扱いも容易なのが特徴となる。
省スペースで利用したい
AI用ソリューションを提供するジーデップ・アドバンスが発売する「GWS-621A」は、ミニタワー筐体を採用したワークステーションであり、省スペース性に優れている。CPUとして「Xeon Silver 4310」を2基、GPUに「RTX A4000」を1基搭載する。
NVIDIA製ワークステーションがいい
AI向けGPUベンダーの最大手であるNVIDIA製のワークステーションも存在する。NVIDIAの「DGX Station A100」は、CPUとして「AMD Epyc 7742」、GPUとして4基の「NVIDIA A100」を搭載したAI開発用ワークステーションだ。
GPUのNVIDIA A100には、メモリ40GB版とメモリ80GB版の2種類があり、80GB版は大規模言語モデル(LLM)などの巨大モデルの学習にも向いている。企業や研究機関などが本腰を入れてAI開発に取り組むための製品といえる。
NVIDIA以外のGPUを使いたい
また、アクセラレーターとしてNVIDIA製のGPUを採用していないワークステーションもある。例えば、アプライドの「CERVO FPGA PALTEK Type-ISFPX」は、CPUに「Xeon W-2265」、FPGAアクセラレーターに「XILINX Alveo U50」を搭載している。AI推論向けの開発環境「Vitis AI」によって、エッジデバイスとAlveoカードの両方を含む、XILINXプラットフォーム上でのAI開発が行える。
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