レーザーポインター内蔵コンタクトレンズ、フランスチームが開発 見ているモノに画像投影:Innovative Tech
フランスのIMT Atlantiqueに所属する研究者らは、装着者が見ているものに赤外線レーザーポインターを照射して画像を投影できるコンタクトレンズを提案した研究報告を発表した。
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。Twitter: @shiropen2
フランスのIMT Atlantiqueに所属する研究者らが発表した論文「Contact lens embedded holographic pointer」は、装着者が見ているものに赤外線レーザーポインターを照射して画像を投影できるコンタクトレンズを提案した研究報告である。
コンタクトレンズには強膜レンズを使い、垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)と回折光学素子(DOE)を組み込んだ。VCSELから赤外線レーザーを照射し、DOEを介して目の前の選択した距離にパターンイメージを投影する。
コンタクトレンズは、アンテナや赤外線カメラが備わったメガネ型デバイスと組み合わせて使われる。メガネ型デバイスのアンテナからコンタクトレンズに電力供給を行い、誘導結合により駆動させる。
実験では、コンタクトレンズの前方30cmの位置にスクリーンを置き、十字の画像を投影できるかを検証した。その結果、十字の画像を投影することに成功し、また眼球が動けばその方向に画像も追従して投影されることも確認できた。
画像投影の他に、装着者の視線追跡も追加できる。これは同研究室による別の研究報告で紹介している内容だ。両目に赤外線レーザー内蔵コンタクトレンズを装着し、2点からのレーザー光を照射してメガネ型デバイスに内蔵の赤外線カメラでそれらの光を検出するというアプローチである。
レーザー光が反射した場所を赤外線カメラで記録し、両目からの2つのレーザー光が交わる場所をソフトウェアで計算することで、装着者がどこを見ているのかを特定できる。しかも、システムはリアルタイムに動作するため、装着者が今どこを見ているかを連続的に追跡可能。
研究者らの懸念として、常時照射しているレーザーが装着者のまぶたを火傷させる可能性を挙げている。人は何度も瞬きするため、そのときにレーザー光に当たるからだ。何らかの感光反応や燃焼を引き起こす可能性が考えられる。
Source and Image Credits: Robert, FM., Abiven, B., Sinou, M. et al. Contact lens embedded holographic pointer. Sci Rep 13, 6919(2023). https://doi.org/10.1038/s41598-023-33420-8
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