武蔵野美大の「生成系AIについてのメッセージ」が“分かってる感ある”と話題 冷静な分析と理解から利用ルールを論じる
武蔵野美術大が発表した「生成系人工知能についての学長からのメッセージ」が「分かってる」「素晴らしい」と話題だ。ChatGPT登場以降、各地の大学がその取り扱いについて立場を表明しているが、武蔵野美術大学は5個の観点から生成系AIの課題と扱いについて論じている。
武蔵野美術大が5月11日に発表した「生成系人工知能についての学長からのメッセージ」が「分かってる」「素晴らしい」と話題だ。ChatGPT登場以降、各地の大学がその取り扱いについて立場を表明しているが、武蔵野美術大学は5個の観点から生成系AIの課題と扱いについて論じている。
同大は「大学は学びの場」とした上で、生成系AIについて「自分で確かめる」「現状を知る」「法整備について」「危険性の理解」「大学での利用について」という5点について詳細に認識を説明している。
1つ目は「自分の目で確かめる」という点。生成系AIは目新しい分、誇張や間違いの含まれる情報もあるとし、「製作者、研究者という立場で、自分で試すことを勧める」という。
2つ目は「現状を知る」という点。生成系AIを巡る議論や認識は短期間で変化するため、動向は日々注視するよう呼び掛けている。また、AIはさまざまなサービスなどに組み込まれている可能性があるため、ChatGPTを禁止したとしても知らないうちにAIを活用しているケースも増えているとしている。
3つ目は「概念的理解や法整備について考える」という点。生成系AIは発展が早いため人々の理解や法整備が追い付いておらず、特に美術大学としては著作権についての問題が大きいとの見方を示している。著作権に関する議論に注意するとともに、プロの製作者として「先に類似の意匠や商標がないかどうか調べる責任が、世に出す側にある」としている。
4つ目は「危険な側面を考える」という点。「個人情報や機密情報を入力してはいけない」「悪意のある利用をしていないか、危険な情報共有にならないかに注意する」「ヘイトスピーチや差別などの言論を入力しない」「人に危害を与える道具になり得るものの知識を入力しない」などの注意点を並べている。
以上を踏まえ、5つ目として大学における利用ルールを提示。研究・制作対象として、生成AIを扱うことは積極的に行うべきとしながらも、「レポートや論文に生成系AIの回答をそのまま使う」「(特別な指定がない限り)生成系AIの回答を自分の作品として提出する」ことなどは禁止する。
AIに関する情報発信も積極的に行っている深津貴之さん(noteのCXO)は、この発表についてTwitterで「平均的なそこらの大学よりはるかに生成AIを分析・理解してる感ある」と評価。他のTwitterユーザーも肯定的なコメントをしている。
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