昨今、さまざまなIT企業が社内の研修資料などを学習コンテンツとして公開している。例えばセガやMIXI、リクルート、サイボウズなどがコンテンツを公開しており、よくSNSで「神資料」などと話題になる。実際、ITmedia NEWSでもたびたび取り上げており、人気が出やすい記事となっている。企業側にとっても、IT人材の関心を集める有効な手段の一つだろう。
こういった資料が公開されるのは、企業のテックブログ(技術ブログ・開発ブログとも呼ぶ)であることが多い。従って、記者は記事のネタを求めて日々さまざまな企業のテックブログをウォッチしている。そんな中で、あるSaaS企業のテックブログが目を引く取り組みをしているのを見つけた。
その企業とは、クラウド型会計・人事サービスを手掛けるfreeeだ。freeeは、自社のテックブログ「freee Developers Hub」で、2021年以降に社員が登壇した技術イベントのプレゼン資料や、社内研修で使った資料を公開している。
他社と違うのはポータルサイト形式にしている点だ。一般的なテックブログだと、講演資料はイベントのレポートや告知記事にひも付いていることが多く、資料だけを見たい場合は探すのが手間だ。たまに「まとめ記事」として集約している場合もあるが、頻繁に更新しているところは多くない。一方freeeのブログは、資料だけを時系列順にまとめた専用ページがあるので、情報が散っている他社ブログと比べると、目当てのコンテンツを探しやすい。
掲載している資料の内容も多岐にわたる。昨今話題のチャットAIを扱った「ChatGPTなど大規模言語モデルの活用方法や影響について」というものもあれば、「AWSをフル活用するサービスを保護するセキュリティの考え方とは」というクラウドセキュリティの資料など、テーマはさまざまだ。
同社によれば「エンジニアが個人的に外部イベントに登壇した場合やイベント参加者のみに限定公開している資料をのぞいた上で、登壇者の許諾を得たものを掲載している」という。もちろん、全て無料で閲覧できる。
実は、freeeのテックブログは元から資料をまとめていたわけではない。もともとは一般的なブログ形式で記事を掲載しており、各種資料は外部のスライド共有サービス「Speaker Deck」に集約していた。
しかし「freeeに対して技術情報を発信しているイメージがあるものの、具体的にどんな開発をしており、どんな人が働いているのかまでは理解していないという人が多く、freeeの開発者が日々取り組んでいることを伝えきれていない課題があった」(同社)という。
そこで2022年2月にサイトを改修。イベントの登壇情報や、過去に公開した資料をまとめて確認できるポータルサイト方式に変更したという。
「freeeでは、これまでの技術的な知見や成果、技術的な課題や挑戦を世の中に広くシェアし役立てたいという思いで技術発信を続けている。自身の開発に生かしたり、freeeのことをより知ってもらったりするきっかけになれば幸い」(freee)
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