Visaのタッチ決済対応カードが1億枚超え 決済端末台数はQUICPayやiD、Suica並みに
ビザ・ワールドワイド・ジャパンは5月25日、国内におけるVisaのタッチ決済対応カード発行枚数が3月末で1億枚を超えたことを発表した。国内のタッチ決済比率は、対面決済の20%未満と諸外国に比べてまだ低いが、普及のための大きなマイルストーンを超えた。
ビザ・ワールドワイド・ジャパンは5月25日、国内におけるVisaのタッチ決済対応カード発行枚数が3月末で1億枚を超えたことを発表した。国内のタッチ決済比率は、対面決済の20%未満と諸外国に比べてまだ低いが、普及のための大きなマイルストーンを超えた。
同社のコンシューマーソリューションズ部の寺尾林人氏は「非常に大きな伸びを短期間で達成した。消費者のニーズが背景にある」と話した。
2019年6月時点でのタッチ決済対応カード発行枚数は1000万枚だった。そこから3年少々で10倍になった形だ。
日本クレジット協会の調査によると、国内のクレジットカード発行枚数は約3億枚(22年3月末時点)。デビットカードやプリペイドカードを計算に入れても、Visaカードの過半がタッチ決済に対応したといえるだろう。
決済端末台数はQUICPayやiD、Suica並みに
決済端末は180万台を超えた。ビザは加盟店全体に対する普及比率を明らかにしていないが、他の決済手段の対応店舗数と比較すると、規模感が見えてくる。PayPayが使える店舗数は374万カ所、Suicaなど交通系ICが226万カ所(22年3月末)、QUICPayが205万カ所(22年9月末)、iDが201万カ所(22年12月末)となっており、タッチ決済はQUICPayやiD、Suicaに近い店舗数という形だ。
こうした中、タッチ決済は日常利用から普及が始まっている。特にコンビニでの利用は2年間で10倍になっており、クレジット決済の2件に1件がタッチ決済となっている。また、直近ではディスカウントストアや家電量販店でも利用が増加している。
利用のベースが整いつつあるタッチ決済だが、諸外国に比べると普及はまだこれからだ。欧州のほとんどで対面決済の7割以上がタッチ決済になっており、オーストラリア(99%)、シンガポール(98%)、ニュージーランド(96%)、台湾(91%)などでは、タッチ決済が主流となっている。
逆に普及が低い国では、接触ICの導入が遅れている韓国や、キャッシュレス自体の普及が遅めの米国がある。ただし米国は「急速に普及が進んでいる」(寺尾氏)状況で、34%に達した。こうした世界各国と比較すると、日本の出遅れが目立つ。
寺尾氏は「コンビニでも、まだ2件に1回しか使ってもらえていない。対応カードを持っていながら使っていない人も多い。知って使ってもらうだけで、利用率は大きな伸びがあるだろう」と、ここから先の普及には、試してもらうことが重要だと話す。
タッチ決済は、利用したユーザーの間では非常に満足度が高く、全世代平均でも満足度は81%だ。対応カード、対応店舗という両軸のインフラが整いつつある今、普及の起爆剤は利用者の意識変革にありそうだ。
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