“AWSたまごっち”の裏側、AWS日本法人が公開 IoTサービスをフル活用
米AWSの日本法人が「たまごっちユニ」のシステム構成図などを公式ブログで公開。IoTサービスを中心に、AWSのクラウドサービスを活用したという。
米Amazon Web Services(AWS)の日本法人は6月6日、クラウド接続機能を持つ新型たまごっち「Tamagotchi Uni」(たまごっちユニ/バンダイ)のシステム解説記事を公開した。
たまごっちユニは、サービス提供の基盤としてAWSのクラウドサービスを活用した新型のたまごっち。シリーズで初めてWi-Fi通信機能を搭載しており、クラウドに直接接続できる。たまごっち達は専用メタバース「Tamaverse」(タマバース)へ遊びに行き、配信コンテンツをダウンロード可能。タマバースでは常に新しいイベントやアイテムなどを用意しているという。
解説記事では、たまごっちユニのシステム構成図に加え、どんなサービスを採用したのか公開している。例えば、大量のたまごっちユニを管理するに当たっては、IoT機器の大規模な監視・管理が可能な「AWS IoT Device Manegement」を採用している。
リソースの管理にはストレージサービス「Amazon S3」やデータベースサービス「Amazon DynamoDB」を活用。アイテムの配布履歴などは、時系列に沿ったデータの管理に特化したデータベースサービス「Amazon Timestream」で管理する仕組みだ。
「ファームウェア更新」で課題に直面 解決方法は
記事によれば、たまごっちユニ開発に当たって大きな課題になったのは、ファームウェを更新する仕組みだったという。
たまごっちユニでは、クラウド側からファームウェアを更新・再起動できるAWSの機能「AWS IoT Jobs」を活用している。しかし同機能のデフォルト設定では、1分あたりに1000台までしかアップデートできない。設定変更で適用台数を引き上げることはできるが、想定ユーザー数を考慮すると全台を同じタイミングで更新するのは困難だった。
当初、バンダイとAWS日本法人、開発に協力したシステム開発事業者のフェニシス(東京都中央区)は全台の同時更新を想定していた。しかし、このままだと、ユーザー間でアップデートにかかる時間に差が生まれ、“不公平感”が出てしまう。
そこで3社はファームウェア更新の流れを変更。全台を一斉にアップデートするのではなく、たまごっちユニ上で更新に同意したプレイヤーからアップデートする形に変えた。さらに、AWS IoT Device Managementの機能などを活用し、更新に同意したプレイヤーから順にアップデートを配信する仕組みを整えたという。
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