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NTT、汎用的な量子回路の難読化に成功 素因数分解アルゴリズムにも適用可 知財保護に期待
NTTが汎用的な量子回路を難読化する手法を発見した。これまで以上に難読化できる範囲が広がり、知的財産の保護につながるとしている。
NTTは6月20日、汎用的な量子回路を難読化する手法が見つかったと発表した。これまで以上に難読化できる範囲が広がり、プログラムの不正な解析を防げるため、知的財産保護につながるとしている。
量子回路の難読化はこれまで、常にゼロを出力する「NULL量子回路」など一部の回路にしか適用できていなかった。今回の研究で「疑似確定的量子回路」に対して安全な難読化処理に成功した。
疑似確定的量子回路を使うと、量子計算機で効率的に計算できる問題(計算量クラスBQP)のうち、はいかいいえで答えられる問題であれば解決できる。これには、暗号技術に使われる素因数分解アルゴリズムも含まれる。
NTTは今後、BQPクラス以外の量子回路の難読化手法について研究していくとしている。
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