コスプレイヤー・えなこさん、自身そっくりの“AIグラビア画像”にコメント 「AIに食われ過ぎて……」
コスプレイヤーのえなこさんが、自身に似た“AIグラビア”画像について、公式Twitterアカウントでコメント。「AIに食われすぎてもう骨くらいしか残ってない」という。
「AIに食われすぎてもう骨くらいしか残ってない」──コスプレイヤーのえなこさんは6月21日、自身に似た“AIグラビア”画像について、公式Twitterアカウントでこのようにコメントした。別のインフルエンサーが「これはえなこさんの画像を食べた(学習した)AIで生成したのでは」といったコメントを添えて投稿した画像に返信した形だ。
画像生成AIを使って作られた、実在しないコスプレイヤーや女性のセクシーな画像は“AIコスプレイヤー”や“AIグラビア”などと呼ばれ、ネットではその是非が議論になっている。2月にはインフルエンサーが拡散したAIコスプレイヤーの画像が注目を集めた他、5月には集英社がAI生成画像を使ったグラビア写真集を発売。後に販売終了となったが、「グラビアアイドルの仕事が無くなる」「偶然誰かに似た場合はどうなるのか」などと話題になった。
「著名人に似たAI画像」法的に問題は?
過去にITmedia NEWS編集部がAI領域の法律に詳しい弁護士に取材したところ、著名人を模したAI画像を販売する行為は、パブリシティー権の侵害に当たるおそれがあると指摘。一方で、AIモデルを作るために画像データを収集し、学習に使うこと自体は、パブリシティー権の侵害に当たらない可能性が高いという。
ただしAIモデルを販売し、購入者が生成画像を販売するなどパブリシティー権を侵害する行為をした場合は、販売主もそのような行為をほう助したと見なされる可能性がある。AIモデルを販売する際、生成できる女優の氏名や写真を付けて販売する行為も、パブリシティー権の侵害や不正競争防止法違反になるという。
なお、学習済みAIモデルを配布する「Civitai」というサービスでは、画像生成AI「Stable Diffusion」でえなこさんに似せた画像を作成するための「LoRA」が、えなこさんとは無関係とみられる人物によって公開されている。LoRAは少量の画像をAIに追加で学習させ、生成結果をある程度コントロールするために使うものだ。例えばこのLoRAを使ってえなこさんに似た画像を生成し、販売した場合は、上述の通りパブリシティー権の侵害などに当たる可能性が高いと考えられる。
関連記事
- 女性声優の“存在しない”水着画像をAIで作成、販売……法的に問題ないの? 弁護士に聞いた
実在する人物に似た画像をAIで生成し、それを販売する事例が現れた。顔は女性声優や女優などを模しているようで、水着などを着せている。著名人を模したAI画像やそれを作成できるAIモデルの売買について、法的に問題はないのだろうか。弁護士に聞いた。 - 注目集める「AIコスプレイヤー」の作り方を調べてみたら、“無規制地帯”が見つかった イラスト生成のダークサイド
注目集める「AIコスプレイヤー」。その作り方を調べてみたら、インターネットの“無規制地帯”が見つかった。 - AI作品の販売に特化したサービス登場 LoRAやプロンプトも対象 二次利用で収益還元の仕組みも
クリエイター支援業のシアンが、AIを活用するクリエイター向け作品投稿サイト「petapi」のβ版を公開した。AI生成コンテンツを販売できる他、将来的にはLoRAモデルやプロンプトも販売できるようにする。 - 絵師の“AI学習禁止宣言”に意味はあるのか? AIに詳しい弁護士に聞いてみた
AIイラストメーカー「mimic」の出現以降、Twitter上では自分の絵について“AI学習禁止宣言”をする人たちが現れている。このような宣言をすることで、AI学習への利用を禁止できるのか? AI領域の法務に詳しい柿沼太一弁護士に話を聞いた。 - 集英社、“AIグラビア”の販売終了 「生成AIの課題について検討足りなかった」 Twitterも削除
集英社は、AI生成画像を使ったグラビア写真集「生まれたて。」の販売を終了すると発表した。 - AIの「学習」と「推論」って何が違うの? “ハコ”に例えてカンタン解説
AIの「学習」と「推論」は何が違うのか。この違いを押さえておくことで、AIに関する議論をする際にもポイントが分かりやすくなるはずだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.