DockerがMutagenを買収 オープンソースとしての開発は継続
米Docker社は高速なファイル同期機能やネットワーク転送機能を提供する米Mutagen IOの買収を発表した。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「DockerがMutagenの買収を発表、ローカルとリモートのコンテナ環境をリアルタイムにファイル同期」(2023年6月29日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米Docker社は高速なファイル同期機能やネットワーク転送機能を提供する米Mutagen IOの買収を発表しました。
Mutagenはローカル環境とリモート環境のディレクトリおよびファイルをリアルタイムに同期する機能と、ネットワークリクエストの転送機能を提供するオープンソースのツールです。クロスプラットフォーム対応であり、Docker環境を含むさまざまなデスクトップ環境、サーバ環境に対応します。
Docker Desktopを用いた開発環境の課題の1つは、Docker Desktop環境で開発対象としているファイル群の内容をホストマシンやリモートサーバへ反映させるのに時間がかかることでした。
Mutagenはほぼリアルタイムでローカルとリモートの間で高速にファイルを同期する機能によってこの課題を解決するものです。
例えばクラウド上のコンテナ環境とローカルPCのDocker Desktopの環境を同期させることで、クラウド上のコンテナを基盤とした開発環境を容易に構築できるようになります。
すでにMutagenの拡張機能はDocker Extensions Marketplaceで入手できるようになっています。
買収後もMutagenはオープンソースとして開発が継続される他、有償で提供されてきたMutagen Proもそのまま継続されるとのことです。
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