暑すぎるのでクーラー搭載リュックを試してみた 酷暑の外出、快適になるか(1/2 ページ)
富士通ゼネラルの冷却機能付きバックパックを試してみた。酷暑の外出、快適になるか……?
今夏はちょっと暑すぎる。うかつに外に出られないくらい暑い。一方、新型コロナウイルス感染症が5類に割り当てられたことで、ビジネス・プライベート問わず外出の機会も増えた。外に出ると、みんな思い思いの暑さ対策を講じている。
筆者もその一人だ。“コロナ5類化”で、外での取材が増えた。当然、炎天下を出歩くことも多いので、外出時は汗だくだ。特に筆者は仕事柄、PCやカメラなどを持ち歩く必要があって荷物が多く、バックパックがマストアイテムだ。なので、背中はもうびっしょり。
どうにかならないか──と考えていたところで、編集部員からあることを聞いた。エアコンなどの空調機器を手掛ける富士通ゼネラルが冷却機能付きバックパックなるものを開発したというのだ。
要するに、背負う部分に冷却シートなどが仕込んであり、背中が冷やせるというグッズだ。今回は、冷却機能付きバックパック「コンディショニングバックパック」を借りられたので、本当に快適になるのか試してみる。
特徴は温度の“揺らぎ” 基礎スペックを確認
コンディショニングバックパックは「通勤を涼しく快適に」をうたう製品だ。冷凍庫などで凍らせた保冷剤をポケットにセットすると、熱交換器が循環水を冷やし、チューブを通して背中部分にある冷却シートに届ける仕組み。冷却シートは循環水の冷熱を背中全体に広げるもので、毛細管現象によりシート全体が均一に冷えるという。
バッテリーの稼働時間は2時間程度。重さは冷却装置込みで約2.4kgある。外観は「ビジネス用のバックパック」のイメージそのものという感じ。実は開発にはミズノも協力しており、「ビジネス向けバックパックに求められる機能性とデザイン性の両立を目指した」という。
最大の特徴は、背中を冷やす温度の“揺らぎ”だ。人は時間が経つと温度に慣れることから、冷たさを一定にしないことで、常に涼しく感じるようにしたという。使用を始めるとまず急激に温度を下げ、その後は上げ下げして冷たさを感じやすくする仕組みだ。
もともとは新規事業の創出を目指す社内公募制度から生まれたもので、「真夏の炎天下を徒歩で通勤する社員の実体験が発想の元になっている。出勤後に汗やニオイを心配したり、熱くなった体のクールダウンをしたりすることなく、すぐに仕事を始めたいという気持ちを具現化した」(同社)という。
よく冷えて気持ちいい バックパックとしても快適
では早速使ってみる。8月某日、家から直接外へ取材に出かけ、その後会社で働き、帰宅する日があったので、普段背負っているリュックの代わりにしてみた。結論からいうと「短時間の外出をラクにしてくれる縁の下の力持ち」というのが率直な感想だ。
まず一番大事な涼しさだが、シャツ1枚かシャツ+インナーくらいなら文句なく涼しい。背中をキンキンに冷やしてくれるというよりかは、タオルで包んだ氷嚢をずっと当てられているような、ひんやりとした冷たさだ。一方ジャケットを着ているとちょっと冷たさが和らぐ。
背中で血が冷え、全身に巡っていくような感覚だ。日差しや湿気もあるので、さすがにこれさえあれば汗はかかない、というほどではないが、暑さ由来の不快さはだいぶましになる。筆者は寒すぎると逆にお腹を壊しがちなので、個人的にはキンキンに冷えるよりこっちのほうが好ましかった。温度の“揺らぎ”についても自然で、急にぬるく感じるようなこともない。ずっと涼しく感じられるという製品説明通りの印象だった。
次にバックパックとしての使い心地だが、これは良い点と悪い点があった。良い点は、背負いやすさやモノを収納する機能は十分なところだ。ショルダーベルトはクッション付きで肩が痛くならない。ズレ防止のフロントストラップもあるので、冷たい部分が背中から離れることもない。普段3000円程度の安物のバックパックを使っているからかもしれないが、快適に利用できた。
背中に当たる部分もメッシュ地なので、あまりムレない。冷却シートに結露してできた水が少ししみる気もするが、汗でべたべたになるよりかはマシだ。
最初はバッテリーや冷却シートのせいでモノがあまり入らないのでは、と思っていたが、予想に反して収納部も多かった。収納部は腰に1カ所、サイドのポケットが2カ所、背面に2カ所、メインの収納部が1カ所(中に2カ所のポケット)、バッテリーや熱交換器用のスペースが1カ所。最後のスペースは他の荷物を入れてはいけない(と、説明書に注意書きがある)ので、それ以外の場所に荷物を入れることになる。
筆者は基本的に13インチのノートPCとその周辺機器、ミラーレスカメラとレンズ、スマートフォン複数台、モバイルバッテリー、衛生用品、各種ケーブル、ワイヤレスイヤフォンに薬、お菓子、飲み物、タオル──などを持ち歩いているが、問題なく収納できた。
逆に気になった点は重さだ。そもそもバックパックの重さが2kg強。先述した筆者の持ち物が、大体5〜7kg程度(仕事内容や日によって変わる)ので、ひどいときは10kg弱の重さになる。男性の筆者としては、荷物が少ないとき許容範囲。逆に、持ち歩くものが多いときや、出先でいろいろ受け取ってしまったときはちょっとしんどいかもしれない。
あと、じっと耳をすまさないと気づけない程度だが、熱交換器から常に「ジー」と音がする点も少し気になった。街中や電車ではほぼ気にしなくていいだろうが、しんと静まった厳かな場所で背負いっぱなしにするなら電源は切ったほうがよさそうだ。
関連記事
- 「通勤を涼しく」 クーラー搭載リュック、富士通ゼネラルが500台限定で販売
富士通ゼネラルは12日、蓄冷熱交換技術を生かしたクーラー搭載のリュック「コンディショニングバックパック」の限定販売を始めた。「ビジネスマンの通勤を涼しくする」という。 - この夏はペルチェでヒエヒエ 広がる「パーソナル冷房」の世界
筆者の仕事部屋には、エアコンがない。去年の夏に冷風扇を導入し、リビングのエアコンからの冷気を部屋内に引き込んでいる。これと「REON POCKET 4」のお世話になっている。さらに今年はもう1つ、ペルチェ素子を使った秘密兵器を導入して、さらに快適になった。 - エレコムが“スマホクーラー” 背面をペルチェ素子+小型ファンで冷却
スマートフォンの背面に密着させ、熱くなった本体を冷却するスマホクーラーがエレコムから。ペルチェ素子とファンを搭載。 - “首に装着するエアコン”、6万円で発売
富士通ゼネラルは12日、首に装着して頸動脈を流れる血液を冷やすウェアラブルデバイス「コモドギア アイスリー」を発表した。今回から売り切りも始める。 - ソニー“着るエアコン”に新作 さっそく試してわかった「REON POCKET 4」の進化っぷり
ソニーの“着るクーラー”として知名度を誇る「REON POCKET」に新作が登場した。4月20日に発表された「REON POCKET 4」はデザインも一新し、3までの不満点を一掃した新モデルだ。さっそく試してみたので使い勝手をチェックする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.