Zoom、「顧客の同意なしに」ユーザーデータをAIトレーニングに利用しないと約束し、利用規約を更新
Zoomは、3月末の利用規約更新でユーザーデータの権利をZoomが単独で保持することになるという指摘を受け、ユーザーの同意なしにはデータをAIのトレーニングに使ったりしないと説明し、利用規約に文言を追加した。
米Zoomは8月7日(現地時間)、「顧客の同意なしに」サービス上の音声、動画、テキストチャットのデータをAIモデルのトレーニングに使っていないと公式ブログで説明した。同社はその後、英語版の利用規約も更新した。
同社が3月31日付で更新した利用規約について、米StackDiaryが項目の10.2〜4で「サービスで生成されたデータに対するすべての権利をZoomが単独で保持することになる」と指摘したことを受けたものだ。
利用規約の10.4項には7日付けで、「上記にかかわらず、Zoomはお客様の同意なしに、音声、ビデオ、またはチャットの顧客コンテンツを使用してAIモデルをトレーニングすることはない」という文言が追加された(日本語版には本稿執筆現在、まだ追加されていない)。
公式ブログでスミタ・ハシムCPO(最高製品責任者)は、アカウント所有者と管理者がAIトレーニング用にデータを共有することを選択する前に、同意する必要があることを強調し、データは「これらのAIサービスのパフォーマンスと精度を向上させるためにのみ使用され」「サードパーティモデルのトレーニングには使用されない」と説明した。
また、「お客様の同意なしに、教育記録や保護された健康情報などの顧客コンテンツをAIモデルのトレーニングに使用することはない」ともしている。
Zoomは3月には米OpenAIとの提携でスマートコンパニオン「Zoom IQ」を強化すると発表。5月には米Antrhopicの「Claude API」をZoom IQに統合すると発表している。
【更新履歴:2023年8月8日午前11時40分 スミタ・ハシム氏の肩書が誤っていました。お詫びして訂正します。】
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