日赤「反省している」 AIによる「新証言」で物議の関東大震災企画を中止
日赤は「関東大震災100年プロジェクト」を全面的にとりやめ。ChatGPTを利用し、当時のデータを基に震災の「新証言」を生成するなどの一部企画に批判が集まったため。
日本赤十字社(日赤)は、8月25日から都内の会場などで開催予定だった、関東大震災の教訓を未来につなぐことを目的にした「関東大震災100年プロジェクト」を全面的にとりやめると24日に発表した。
ChatGPTを利用し、当時のデータを基に震災の「新証言」を生成するなどの一部企画に批判が集まったため。AIを使った企画は24日に中止を発表済みだが、記者会見などを含むプロジェクト全体の実施を見送る
日赤は「本来の意図が伝わらず一部で誤解を招いてしまった」とし、「慎重な検討が必要だったと反省している」と謝罪している。
日赤によるとこの企画は、東京都支部1階に飾ってある、約100年前に描かれた関東大震災に関する1枚の絵画を起点に始まった。
「震災当時の記憶も薄れ、描かれた当時の様子も絵画だけでは伝わり難くなってきた」ため「AIという新しい技術のサポートを得ることで、描かれている当時の状況やそこから見出せる教訓等を想像しやすくなるのではないか」と判断。「関東大震災に関心をもっていただき、少しでも防災に備える行動をとっていただくことが一番の目的」だったという。
プロジェクトでは、「100年前の100人の“新”証言 〜データとAIで紐解く、あの日に起きたこと。」と銘打ち、ChatGPTをベースとするLLMに当時の文献60万字以上の情報を読み込ませ、震災発生当日に起こったことを被災者が語るショートストーリーを作成。当時の赤十字の救護活動を伝える絵に描かれた避難民をベースに20人の人物画像もAIで生成した。
企画が発表されると、SNSで「証言の生成はねつ造だ」「冒涜では?」などの批判が噴出した他、「数年後には史実として語られてそう」と心配する声も出て騒動に。日赤は「本来の意図が伝わらず一部で誤解を招いてしまったため、本プロジェクトを通して伝えたかったことが十分に伝えられない状況」とみて中止を決断した。「より慎重な検討が必要であったと反省している」と述べ、謝罪している。
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