Microsoft、EUの独禁法違反懸念対処でEU圏の「Teams」を「Microsoft 365」と分離
Microsoftは、欧州経済領域とスイス地域で、「Teams」の「Microsoft 365」バンドルを解除すると発表した。欧州連合による独禁法違反調査開始を受けたもの。10月1日に発効する。
米Microsoftは8月31日(現地時間)、欧州経済領域(EEA)およびスイス地域で、ビデオ会議ツール「Teams」の「Microsoft 365」バンドルを解除すると発表した。EUの欧州委員会が7月、独禁法違反の可能性について正規調査を開始したことを受けたもの。
この調査のきっかけは、米Slackが2020年、欧州委員会にMicrosoftを独禁法違反で提訴したことだ。
Microsoftは公式ブログで、この変更は顧客がTeams抜きのOfficeをより安価に購入できるようにすべきであり、競合するサービスとの相互運用性をより容易にするために努力すべきだというEUの懸念に対処するために行うと語った。
この変更は10月1日に発効する。Teamsを含むEnterpriseスイートは提供されなくなるが、既存顧客は現行のプランを継続するか、更新日に新たなプランに切り替えるかを選択できる。
MicrosoftはTeamsバンドル解除と並行して、SlackやZoomなどの競合サービスへのMicrosoft 365およびOffice 365との相互運用性に関する文書改善も計画しているという。また、これらの競合サービスでもTeams同様にWordやExcelをホストできるようにする計画だ。
「これらの変更により、競合他社の利益と欧州の企業顧客の利益のバランスが取れ、競合他社が競争力のある価格で可能な限り最高のソリューションにアクセスできるようになると確信している」(Microsoft)
Microsoftは現在、Activision Blizzard買収をめぐって英規制当局の懸念に直面しており、承認を得るためにActivisionのゲーム権利を仏Ubisoftに売却するよう買収計画を修正した。こちらの決定期限は10月18日になっている。
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