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セメダイン100周年、時代を先取りしすぎた「導電性接着剤」の悲劇とその後

セメダインは4日、創立100周年を記念した特設サイトを公開した。ここで先進的すぎる発想であったために時代にそぐわず売れなかった商品が紹介されている。

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 セメダインは9月4日、創立100周年を記念した特設サイトを公開した。画期的な技術や製品をいくつも生み出してきた同社だが、中には先進的すぎて売れなかった商品も存在する。特設サイトではその1つ、1974年頃に発売した「フィルム状導電性接着剤:U-121CWP」を紹介している。


2023年11月19日に創立100周年を迎えるセメダインの記念サイト

 通常の接着剤は電気絶縁性だが、接着剤の材料(樹脂など)に銀粉など金属粒子を混ぜて電気を通すようにしたのが導電性接着剤。電子機器では、はんだの代わりに熱を加えてはいけない場所を接合したり、逆に熱が加わっても熔解しない接着手段として使われる。

 現在ではさまざまな用途のものがあり、電子機器の小型化に果たした役割も大きいとされる導電性接着剤。しかし1974年ごろの電機業界はまだ「真空管やトランジスターが主力」で、導電性接着剤の販売を命じられた同社の営業員や顧客の技術者たちはどこで使うのか分からず混乱したという。

 「結局、具体的な用途が見つからずに廃止となってしまいました」。


当時の技術資料。用途として「セラミックバイモルフエレメントなどの圧電素子の組み立て」を挙げていた(セメダイン100周年記念サイトより)

 もちろん導電性の接着剤は電子機器の進化に伴って後に復活。2016年には独自の導電性ペーストを開発し、布にLEDを直接貼り付けて光らせる「着るセメダイン」をイベントで披露している。


現在の導電性接着剤。フレキシブル性を合わせ持ち、振動にも強いという

「着るセメダイン」は2016年の第2回ウェアラブルエキスポで披露。不遇な生い立ちからは想像できないほどきれいに成長した

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