H-IIAロケット打ち上げ成功 XRISMとSLIMを切り離し 「世界一の装置が上がった」
JAXAは7日、H-IIAロケット47号機の打ち上げに成功した。X線を使って宇宙を観測するX線分光撮像衛星「XRISM」(クリズム)と日本初の月面着陸を目指す小型実証機「SLIM」(スリム)を載せていた。
JAXAは9月7日、H-IIAロケット47号機の打ち上げに成功した。X線を使って宇宙を観測するX線分光撮像衛星「XRISM」(クリズム)と日本初の月面着陸を目指す小型実証機「SLIM」(スリム)を載せていた。
H-IIAは、7日の午前8時42分11秒に種子島宇宙センターから打ち上げられた。JAXAは打ち上げの模様をYouTubeで生配信し、多くのファンが固唾を飲んで見守った。
14分後にはXRISMの分離に成功。さらに打ち上げから48分後にはSLIMの軌道投入にも成功した。
世界一の装置、上がった
XRISMは、JAXA宇宙科学研究所の7番目のX線天文衛星計画。最新のX線分光装置とX線撮像装置で宇宙を観測し、星や銀河の成り立ちを明らかにするという。
動画配信に登場したXRISMプロジェクトの田代信さん(宇宙物理学研究系 特任教授)は、「日本のX線天文学は、1980年代のてんま、90年代のあすか、そして2010年代のASTRO-H(ひとみ)と、その時々の最先端の機器を使ってX線分光の世界一をずっと走ってきた。今度もXRISMも世界一の装置。それを使って世界で一番いいスペクトルをとり、X線天文学の世界を切り開いていきたい」と意気込みを語った。
XRISMは今後、3カ月程度かけて観測機器を立ち上げを行う。その後は約96分に1回のスピードで地上を周回しながら天体観測を行う予定だ。
一方のSLIMは小型軽量の探査機を使い、月へのピンポイント着陸を目指すプロジェクト。今後3〜4カ月をかけて月の周回軌道に到着。年明けには月へ降下する見通し。着陸に成功した後は、マルチバンド分光カメラや小型探査機を使って月面の調査を進めることになっている。
関連記事
- インドの無人探査機、月面着陸に成功 写真をXで公開
インドの月面探査機「チャンドラヤーン3号」が月面着陸に成功。同機が撮影した月面の写真もXで公開した。 - H3ロケット打ち上げ失敗 「電源系統に異常」JAXA報告
JAXAは、H3ロケット打ち上げ失敗について、第2段エンジン着火指示付近で電源系統に異常があったことを確認した。 - 「JAXAに寄付した」と多くのツイート H3ロケット失敗で「頑張ってほしい」の声集まる
3月7日にH3ロケットの試験1号機の打ち上げに失敗したJAXA。ライブ配信や報道などで失敗を知ったTwitterユーザーの間で、「JAXAに寄付をした」というツイートが多数投稿されている。 - H3ロケット、打ち上げ失敗 第2段エンジン点火せず 指令破壊信号を送信
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月7日、次期主力ロケット「H3」の試験1号機を種子島宇宙センターから打ち上げたが、第2段エンジンが点火せず、打ち上げは失敗となった。 - 変形する月面探査ロボット「SORA-Q」、22年度中に2度も月へ
タカラトミーは15日、開発中の変形型月面探査ロボットがJAXAの月着陸実証機「SLIM」(スリム)に搭載され、2022年度中に月面でのデータ収集を行うと発表した。愛称は「SORA-Q」(ソラキュー)に決まった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.