「iPhone 15」シリーズ徹底比較 USB-C以外に何が変わった? 前モデルと比べてみた(4/4 ページ)
米Appleが9月12日(米国時間)に「iPhone 15」シリーズを発表した。6.1インチの「iPhone 15」「iPhone 15 Pro」と、6.7インチの「iPhone 15 Plus」「iPhone 15 Pro Max」の4機種。従来モデルと比べながら、新機能や注目ポイントを紹介する。
一番の改善点はプロユーザーの使い勝手?
今度は中身を見てみよう。チップは「A16 Bionic」から「A17 Pro」に刷新された。Apple初の3nmプロセスで製造された最新チップで、CPUはマイクロアーキテクチャを刷新し、性能コアは10%の向上、省電力コアはワット当たりのパフォーマンスが競合比で3倍に向上している。GPUコアも刷新され、5コアから6コアに増加。パフォーマンスは20%向上し、新たにハードウェアアクセラレーションのレイトレーシングに対応。ソフトウェア処理と比べて4倍高速化している。
A17 Proでは、新たにUSB 3コントローラーも内蔵した。USB-Cで最大10Gbpsを実現したのはこのコントローラーのおかげであり、あくまでも推測だが、無印/PlusがUSB 2仕様のままなのは、A16 Bionicには同様のコントローラーが搭載されていないからでは、という可能性も考えられる。
カメラ周りは、Proに限って言えば超広角、広角、望遠ともに14 Proとスペック的に変わりはない。ただし、Photonic Engineを改良(4800万画素で処理)することで、画質の劣化を気にすることなくメインカメラの焦点距離を24mm、28mm、35mmの中から選択できるようになった。また、ナイトモードでの色再現性が向上した他、スマートHDRが4から5に、ポートレートモードもよりフォーカスと被写界深度がコントロールできる次世代のものに刷新された。
一方、Pro Maxについては望遠ズームが5倍に刷新された。光学系も「テトラプリズムレンズ」を採用。F2.8という明るさをキープしたままコンパクトな光学系で換算120mmを実現すべく、4回光線が屈折する独自のレンズを開発した。いわゆるペリスコープタイプに似ているが少し異なる光学系のようだ。これに組み合わさる1200万画素のセンサーには、3Dセンサーシフト光学式手ブレ補正も搭載されている。また、Proの3倍ズームに搭載されたセンサーよりもピクセル幅が若干大きく(Proが1μm、Pro Maxが1.12μm)、センサーの世代は分からないが高感度性能の面で望遠は若干Pro Maxが有利かもしれない。
また、プロユースを意識した静止画/動画機能も搭載。USB-Cが10Gbpsになったことで、レタッチソフト「Capture One」をインストールしたPCとiPhoneをつなぎ、4800万画素のPro RAWを使ってのテザー撮影(スタジオなど撮影したデータをPCにリアルタイムに取り込み仕上がりを確認するスタイル)が可能になった。ProRes撮影は4K60fpsに強化。高速化したUSB-Cポートを使い、SSDなどの外部ストレージに直接ProResを書き出せるようになった他、Logビデオ撮影(ProRes)、アカデミーカラーエンコーディングシステム(ACES)もサポートした。
この辺の使い勝手は、iPhone 14 Proでは得られないものだろう。AppleもUSB-Cと高速転送でワークフローが大きく改善される点をアピールしており、カメラ性能の面ではさほど変わらないかもしれないが、プロのワークフローにiPhoneをどう組み込むかを検討しやすくなったのかもしれない。そういう意味では「Pro」の名前に恥じない製品になったのだろうか。
さらに、Vision Proとの連携も従来機にはなかったポイントだ。超広角カメラ、広角カメラをステレオカメラに見立て、視差を利用した「空間ビデオ」を撮影できるという。Apple Vision Proで再生すれば、撮影した動画を立体感を持って視聴することができるとしている。
こうしたアップデートが入ったiPhone 15 Pro/Pro Maxだが、価格はこちらも若干上がっている。米国価格は据え置きの999ドルスタートだが、ドル円相場の影響を受けて14 Proから値上げ。Proの128GBは14万9800円から15万9800円、Pro Maxは17万9800円から18万9800円スタート(15 Pro Maxでは128GBモデルが廃止されているので256GBで比較)に引き上げられた。
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