新型テスラ「Model 3」で“消えたモノ”と“増えたモノ” 実車を見た前モデルオーナーの素直な感想(6/6 ページ)
Tesla Model 3の新型が登場した。21年型のModel 3に乗る筆者としては、どこがどのように進化したのか大いに気になる。去る9月8日、メディア向けにお披露目された新型の魅力を写真を中心に振り返ってみる。
買うか、買わぬか悩めるところ
筆者は当初、この新型Model 3に関して、横から見たらほぼ見分けがつかないだけに、前や後ろのデザインが変わっただけのマイナーチェンジかフェイスリフト程度に考えていた。
だが、実車に触れて「中身」が大きく進化していることを知り、その考えを改めなければと思った次第だ。他社のモデルにあるようなグレートリセット的な「完全なモデルチェンジ」とはいえないまでも、進化のステップが“ドカン"と積み上がったことは確かだ。
Teslaのクルマは、ソフトウェアだけでなくハードウェアも常に進化しているそうだ。例えば、筆者の21年型と比較すると、スクリーンの操作感が大きく改善されるなどしている。「走るスマホ」といわれるTeslaだけに、スクリーンの操作感はドライブ体験の良しあしに直結する。駆動バッテリーの改良で航続距離も伸びている。もっと年式の古いModel 3ユーザーはその感覚がさらに強くなるのではないか。
テスラユーザーが集うフォーラムを運営するなど、テスラコミュニティーでは名の通ったテスカス氏が会場にいたので、ベテランModel 3オーナーとしての感想を聞いてみた。テスカス氏は2019年の日本初登場のModel 3に乗っている。
「僕にとっては、まったく別のクルマに感じます。欲しくてたまりません」(テスカス氏)と満面の笑みで答えてくれた。じゃあ、筆者である山崎はどうするのかというと、当面は様子見の姿勢だ。
ローンの残債もあるし、EV補助金のシバリもあと2年ある。そもそも、2年前に、ロングレンジを509万円で購入した身からすると新型の価格は高すぎる。齢66、新たに多額のローンを抱えることにも不安がある。
ただ、ニューラルネットによる学習で構築したFull Self Driving BETA(Teslaの高度運転支援)が、仮に日本で使えるようになった場合、「HW3.0」と呼ばれるメインコンピュータを搭載した21年型モデルにも対応可能だという。
つまり、この先も自動運転の夢と希望を諦めることなく、現在のModel 3に乗り続けることができるのだ。Teslaの最大の魅力はまさにここにある。というわけで、ローンを完済するころには円高になり、新型Model 3の価格が下落していることを切に願いつつ、台風が近づく発表会を愛車で後にしたのであった。
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