Dockerがコードネーム「Docker Debug」発表 コンテナ内に任意のデバッグツール群を一括導入、効率的なデバッグを実現
米Dockerが、Dockerコンテナ内でのアプリケーションのデバッグを高効率化するDocker Desktopの新しい拡張機能「Docker Dubug」(コードネーム)を発表した。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「Dockerがコードネーム「Docker Debug」発表、コンテナ内に任意のデバッグツール群を一括導入、効率的なデバッグを実現。DockerCon 23」(2023年10月12日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米Docker社は米ロサンゼルスで10月3日と4日の2日間、年次イベント「DockerCon 23」を開催しました。
1日目の基調講演で、Dockerコンテナ内でのアプリケーションのデバッグを高効率化するDocker Desktopの新しい拡張機能「Docker Dubug」(コードネーム)が発表されました。
コンテナのデバッグは面倒
一般にDockerコンテナは、使用メモリの最小化とセキュリティを高めるなどの目的で、余計なシェルコマンドやツールなどを徹底的にそぎ落としたOSの上にアプリケーションを載せた構成にします。
そのため、コンテナ内のアプリケーションに問題が発生し、その解決のために基本的な動作確認や設定確認などをしようとした場合でも、下記のようにpingやviなどの基本的なコマンドさえ使えない状態です。
開発者はここから作業を始めなければならず、デバッグ可能な環境の構築に時間がかかってしまいます。
Docker Debugで関連ツールを一括導入
この問題を解決するために発表されたのが、Docker Desktopの拡張機能としてインストール可能なコードネーム「Docker Debug」です。
下記のデモ画面では「Docker Labs Debug Tools」という名前になっています(コマンド名は「dld」)。
Docker Debugはbash/fish/zshとNixOSベースのパッケージマネージャ、ポートフォワーディングなどの機能をDockerコンテナに組み込むのと一緒に、プログラマがデバッグに必要なツール群をDockerコンテナ内に一括導入できるようになります。
ローカルコンテナだけでなくリモートにあるコンテナにも対応。
下記はdldコマンドでDocker Debugをインストールしたところ。コマンド一発でvimやpingが使えるようになっていることが分かります。
Docker Debugで採用しているNixOSベースのパッケージマネージャは、元の環境に対して非破壊的にパッケージを適用する機能があります。
デモでは示されませんでしたが、この機能を使えばDocker Debugで一発導入したシェルやコマンド群は、またコマンド一発できれいさっぱり消し去ることができて、簡単に元のまっさらなDockerコンテナの環境に戻せると推測されます。
関連記事
- MicrosoftとDockerが提携強化 Docker DesktopのコマンドラインからAzureへコンテナのデプロイなど可能に
米Microsoftと米Dockerが提携を強化。「Docker Desktop」と「Microsoft Azure」の連携を高めることも発表した。Docker Desktopのコマンドラインから簡単にコンテナをAzureへデプロイ、実行できる。 - DockerとAWSが協業 Docker DesktopとAmazon ECSが連係可能に
米Dockerと米Amazon Web Services(AWS)が協業。WindowsやMacでDocker環境を利用できる「Docker Desktop」と、AWSのコンテナ環境であるAmazon ECS(Elastic Container Service)との連係が可能になった。Dockerは米Microsoftとも協業している。 - Docker Desktop 4.19正式リリース macOSでDockerコンテナ・ホスト間のネットワーク速度が5倍高速に
Docker Desktopの最新版「Docker Desktop 4.19」が正式にリリース。macOSでDockerコンテナとホストOSの間のネットワーク性能が5倍高速になったという。 - Kubernetesの登場後、コンテナ型仮想化はどう発展した? 技術トレンドの変遷を振り返る
コンテナ型仮想化の技術は現在、DockerコンテナそのものからKubernetesを軸としたオーケストレーションツールへと主役が移ってきている。そうしたコンテナ型仮想化技術のここ2年半ほどの動向を、ITジャーナリストの新野淳一氏が解説する。 - 「Docker Desktop for Linux」登場 WindowsやMac版と同じ機能や操作を提供、Raspberry Pi OSにも対応
米Docker社がLinux版のDocker Desktop「Docker Desktop for Linux」を発表。WindowsやMacと同じDocker Desktopの機能や操作をLinux環境でも使えるという。数週間以内に64ビット版のRaspberry Pi OSにも対応する予定。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.