EU、MetaとTikTokにもイスラエルとハマスの戦争関連の偽情報対策を正式要請
EUの欧州委員会は、MetaとTikTokに対し、イスラエルとハマスの戦争関連の誤情報対策を報告するよう要請した。報告期限は10月26日。EUは両社がDSA(デジタルサービス法)を順守しているかどうか検討する。
欧州連合(EU)の欧州委員会は10月19日(現地時間)、米Metaと中国資本の米TikTokに対し、イスラエルとハマスの戦争に関する投稿に関する対策について報告するよう正式に要請したと発表した。この戦争では、各種プラットフォーム上で誤情報が拡散している。
欧州委員会は12日、米X(旧Twitter)にも同様の要請を送り、Xは期限内に報告済みだ。
欧州委員会はMetaに対し、「選挙の健全性を守るためのリスク評価と緩和策、ハマスによるイスラエル全土へのテロ攻撃に関する情報のリスク評価と緩和措置に関連する義務を順守するためにとった措置について」報告するよう要請した。報告期限は、ハマスとイスラエルの問題については25日で、選挙に関する報告は11月8日だ。
MetaとTikTokはX同様、8月に発効したEUのDSA(デジタルサービス法)の対象となるプラットフォーム企業。DSAは、プラットフォーム運営企業に対し、違法コンテンツなどの社会的リスク拡散に対処することを義務付けている。違反した企業には年間収益の6%に相当する罰金が科せられる可能性がある。
欧州委員会は12日、Metaに非公式な報告要請を行っており、Metaは13日、公式ブログでイスラエルとハマスの紛争中に偽情報の拡散を制限する措置を講じたと述べた。同社によると、10月7日からの3日間で、ポリシーに違反したヘブライ語とアラビア語の79万5000件以上のコンテンツを削除または迷惑マークを付けたという。また、ポリシーに違反した投稿を1日当たり通常の7倍削除したとしている。
Metaは18日、このブログを更新し、さらなる措置を講じていると主張した。
まず、イスラエルとハマスの紛争中の有害なコンテンツの拡散に対抗するため、地域内の人々が新しく作成した投稿に誰がコメントできるかについてのデフォルト設定を一時的に変更した。投稿のコメントを一括削除できる機能も追加した。
また、パレスチナ人の投稿が意図的に抑圧されているという指摘に対し、それは「真実ではない」と反論した。「ただし、Metaが危険組織と指定しているハマスを称賛するコンテンツや、暴力的で生々しいコンテンツは許可しない」という。
さらに、Instagramで一部のストーリーのリーチが大幅に減少したのはバグのせいであり、「イスラエルとガザで起きていることについての投稿だけでなく、世界中のアカウントに等しく影響を及ぼしたもの」であり、既に修正したと説明した。
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