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コラム

「HHKB Studio」が、静電容量無接点スイッチを採用しなかったワケ 担当者に聞いた(3/3 ページ)

HHKBといえば、エンジニアにとって必要かつ最小限のキー配列と同じぐらい、東プレ製の静電容量無接点スイッチを採用していることが大きな特徴となっている。新作「HHKB Studio」では、スイッチが変更されたことでSNSでは残念がる声も多く見られたが、なぜPFUは静電容量式ではなくリニアタイプのメカニカルスイッチを採用したのだろうか。

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企画は富士通時代からスタートしていた

 今回のHHKB Studioだが、HHKBの世界展開を見据えた商品として構想から4年を経て実現したもの。企画はPFUの米国拠点であるPFU Americaが担当し、設計やデザインを変えながら何度も作り直したという。紆余曲折ありながら、デザインは「GoPro」や英Bowers & Wilkins(B&W)製スピーカーなどを手掛ける米Huge Designが担当することで落ち着いた。

 Huge Designとは良好な関係を築くことができ、お互いにすり合わせながら徹底的にデザインを追い込めたという。ただし一貫して「Busyなデザインにはしたくない」というHugeならではの哲学があり、キャップをThinkPadみたく赤くしがちなポインティングデバイスも「そんなBusyなのはダメだ」と、キーボードと同じ色のキャップを採用することになった(当初はPFUのコーポレートカラーに合わせて青にする案もあったようだ)。


ポインティングデバイスのキャップは、Huge Designのこだわりからキーボードと同色に。ちなみに写真の通り交換できる

 実は、現行のProfessional HYBRIDシリーズも米国ですでに販売されている。HHKBは日本のユーザーとともに育ってきたこともあり、コンパクトキーボードの走りとも言える存在だ。しかし、米国にProfessional HYBRIDを投入した4年前のタイミングではすでに他のコンパクトキーボードも多数存在しており、米国では「東プレスイッチを載せたキーボード」として認識されているのが実情だ。

 Studioの開発に当たり、HHKBの提唱者でもある東京大学名誉教授の和田英一先生とも改めて「HHKBとは何か」を話し合い、「プログラマーが幸せになるものは、それはもう究極的には全部HHKBと仰っていただいた。使われる方が、自分が使いやすいようにキートップをカスタマイズしていただくというのはもうHHKB」と定義。コンパクト、プログラマーにとって効率的なキー配列、一生モノの道具を目指す「馬の鞍」哲学というコアを残しつつ、新しい要素を加えたHHKB Studioで、PFUは富士通時代から温めていたHHKBブランドの世界展開を本格化する。

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