「楽天改悪」トレンド入り 楽天市場がポイントプログラムを大幅改定した理由、同社に聞いた(2/2 ページ)
楽天市場が11月1日に発表したSPU(スーパーポイントアッププログラム)の改定が波紋を呼んでいる。楽天カードや楽天モバイルユーザーに付与されるポイント倍率が変更され、還元の上限額が12月1日から大きく下げられるとして話題に。X(旧Twitter)では「楽天改悪」というワードがトレンド入りする事態となった。
SPUユーザーの8割に「影響はないかむしろ増える」
改定の狙いを楽天グループに聞いたところ「楽天モバイルに注力しているタイミングでもあり、モバイルユーザーにとってポイント倍率がアップする形で今回変更した」「モバイルに比重を置くという案は以前より社内で検討していた。12月は年末でお買い物の機会が増えるので、ポイント倍率を上げてお買い物を楽しんでいただきたい」としており、年末商戦に向けて変更したものという。
一方で楽天カードを始め、モバイルを使っていない他の楽天サービスユーザーからすると、だいぶ割を食う内容となっている。これについては「事実として全体的にかなり調整させていただいているが、全SPU対象ユーザーの8割以上は、今回の変更により獲得ポイント数が増加するか変わらない。モバイルユーザーに限れば、8割以上が獲得ポイント数が増える」と語る(全SPU対象ユーザーには楽天モバイルユーザーも含まれる)。
「楽天カードや楽天銀行ユーザーなど、一部影響が出る方もいらっしゃるのは事実だが、影響範囲は限定的」としている。今回の施策は楽天モバイルユーザーの特典を中心にSPUを組み替えたものになるという。
とはいえ、楽天モバイルユーザーであっても獲得上限額が最大7000ポイントから2000ポイントに減るのはインパクトが大きい。4%還元で上限2000ポイントということは、税別5万円の買い物で上限に到達してしまう。これについては「7000ポイントをフルで獲得されていた方は限定的。今回の変更で、しっかりと上限のポイント数を享受していただきやすくなった。ポイント倍率も上がったので、お買い物でポイントが溜まりやすくなっている」とのことだ。
今回の改定で頭をよぎるのが、赤字を出し続けている楽天モバイルの影響だ。競合であるドコモの回線環境の悪化や、狭帯域とはいえプラチナバンドも獲得したことでようやく好材料が揃いつつあるものの、まだまだ赤字額は大きい。日本郵政からの出資や楽天銀行のIPOなど、資金調達に奔走しているのを見るに、赤字のしわ寄せがSPU改定に及んでいるのではと感じてしまう。
この点について同社は「財務面を考慮しての変更かというと直接的な関係はない」との回答にとどまった。「SPUに限らず、いろいろなマーケティング施策をさまざまなところで実施しているので、より適切にしっかりとご利用いただける方に還元できるよう、適宜組み替えながら実施している」という。
獲得上限額が大きく下がる今回のSPU改定は、楽天市場で高額商品が買われにくくなるだけでなく、楽天の各サービスを利用するメリットも薄くなってしまう。ハロウィンが終わり、これから年末商戦に向けてEC各社がセールを仕掛けていくなか、楽天市場は今後も選ばれ続けるのか、ユーザーの動向が気になるところだ。
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