Microsoft、世界の選挙をディープフェイクなどの攻撃から守るためのツールを提供へ
Microsoftは来年の米大統領選挙に向けて、選挙に対する脅威に対処するための複数の取り組みを発表した。C2PAのデジタル透かし認証を使う「Content Credentials as a Service」などだ。
米Microsoftは11月7日(現地時間)、2024年の世界での選挙に向けて、投票者、候補者、政治キャンペーン、選挙管理機関に対する脅威に対処するための5つの取り組みを発表した。
コンテンツの出所を確認する「Content Credentials as a Service」
「Content Credentials as a Service」は、候補者向けのツール。コンテンツの出所を確認できるC2PAのデジタル透かし認証を使う。この透かし認証は、出所を確認できるだけでなく、認証後に改ざんされると分かるようになっている。
Azureで開発したこのサービスは、来春プライベートプレビューとして提供する計画だ。
政治キャンペーンを支援する「Campaign Success Team」
「Campaign Success Team」は、政治キャンペーンがサイバーセキュリティやAIの課題に取り組むことを支援するチーム。「M365 for Campaigns」や「AccountGuard」などのサイバー保護プログラムの提案など、助言やサポートを提供する。
「Protect Elections from Deceptive AI Act」の支持
「Protect Elections from Deceptive AI Act」(PDF)は、一部の米連邦議会議員が提案した、ディープフェイクやAIの悪用から選挙運動やプロセスを保護するための法案。米連邦選挙での政治広告で、候補者を虚偽に描写するAIコンテンツの仕様を禁止するものだ。Microsoftはこの法案を支持することを表明した。
Bingによる信頼できる選挙情報の提供
有権者に対しては、自社の検索サービス「Bing」で信頼できる選挙情報を提供するとしている。そのために、米州選挙管理者協会(NASED)、スペインの主要通信社EFE、国境なき記者団と連携して、世界中の信頼できるニュース源を積極的に推進していく。
また、Microsoftの脅威分析センター(MTAC)は同日、米国に対する海外からの悪質な影響に関する報告書「Protecting Election 2024 from foreign malign influence:lessons learned help us anticipate the future」を公開した。
米国では2024年に大統領選挙が行われる。
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