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コラム

最強タッグ「OpenAI+Microsoft」を追いかけるAWS 勝機は“選べる自由”にあり(4/5 ページ)

2023年のIT業界は完全に「生成AIイヤー」だが、米AWSの年次開発者会議である「re:invent 2023」でも、基調講演でもっとも時間を割いて解説されたのは生成AIについて。生成AIは米OpenAIとAzure率いる米Microsoftが独走状態だが、AWSはこの2社にどう追いつこうとしているのか、その戦略をひもとく。

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AWSが繰り出すチャットAI「Amazon Q」のスゴさ

 そして、最後のアプリケーションレイヤーとして発表されたのが「Amazon Q」だ。


Amazon独自のビジネスチャットサービス「Amazon Q」を発表

 Amazon Qは、生成AIとチャットUIを使って対話しながらさまざまな仕事を行うためのサービスで、OpenAIのChatGPTやMicrosoftのCopilot、GoogleのDuet AIに相当する。

 そういう意味では必ずしも珍しいものではないのだが、Amazon Qの特徴は応用範囲が非常に幅広いところにある。

 Amazon側は「Qはどこにでもいる」と説明する。同じ「Q」という名前ではあるが、背後で動いているLLMは機能によって異なるという。


同じ「Q」というサービスだが、AWSのいろいろなところでいろいろな形で使われる

 AWSのサービスをサポートするヘルプデスクの中にもいれば、サービスを作るためのコーディングをサポートするツールの中にもいる。企業の持つデータを読み込んで、可視化ツールとして使うこともできる。データはAWSのストレージサービスであるS3はもちろん、AzureやGoogle Driveなどと接続して使うこともできる。


Amazon Qをトラブル解決に利用

企業のデータを解析して可視化することにも使える

 内部にはAWSに関する17年分の知見がそのまま反映されているので、「目的のシステムをどう構築すればいいのか」聞くと適切に構成を答えてくれる上に、そこで必要となるAWSの各サービスへのリンクにも飛べる。

 またコード製作に関しては、「過去にJava 8で書かれたものをJava 17向けに書き直す」こともしてくれる。セキュリティ上の課題など最新の情報を加味した上で自動的に書き換えが行えるという。この機能を併用した場合、1000件のJava 8や11向けコードの最新環境への移行作業がたったの2日で終了するという。なお、現状はJavaが対象だが、今後、Windowsベースの.NET Frameworkアプリケーションを、クロスプラットフォームの.NETアプリケーションに書き直すことが可能になるという。


古くなったJavaのコードを最新のものに書き換えるのは大変な作業だが、それをQで自動化すると、1000のコードを2日で作り変えられる 

 Qはすでにプレビューという形でサービスが開始されており、一般の企業向けには1ユーザーあたり月額20ドル、開発者などに向けては1ユーザーあたり月額25ドルで提供される。マイクロソフトなどが毎月30ドルでサービスを提供していることを考えると、若干価格が抑えられている。

 他の2社は個人向けのサービスも提供しているが、AWSはあくまで企業向けのクラウドインフラ事業が主体なので、個人向けの展開はない。これは企業としての体制の違いに起因するもので、ライバルもサービスの主軸が企業向けである点に違いはない。

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