コラム
最強タッグ「OpenAI+Microsoft」を追いかけるAWS 勝機は“選べる自由”にあり(5/5 ページ)
2023年のIT業界は完全に「生成AIイヤー」だが、米AWSの年次開発者会議である「re:invent 2023」でも、基調講演でもっとも時間を割いて解説されたのは生成AIについて。生成AIは米OpenAIとAzure率いる米Microsoftが独走状態だが、AWSはこの2社にどう追いつこうとしているのか、その戦略をひもとく。
「データこそが差別化点」を生かすAWS
このように、AWSは生成AIが関わる各レイヤーにサービスを持っており、「どの段階でも関われるのが強み」(セリプスキーCEO)という。
ただ、単に生成AIが提供できるだけでなく、重要なのは企業がどう活用し差別化できるか、という点にある。
セリプスキーCEOは「データこそがあなたの差別化要因である」と話す。日常的に業務で蓄積される大量のデータを機械学習で解析し、それを自社の強みとして生かすことが肝要であり、生成AI自体も、ファインチューニングや企業データとの併用で課題解決に結び付く……という考え方だ。
この考え方自体はどの生成AI関連企業にも共通のことではあるが、重要なのはAWSが「クラウドインフラ事業者である」ということだ。AWSの基本は、クラウドストレージである「S3」。そこにどう大量のデータを蓄積し、遅延なく活用するかが、AWSのビジネスにとっても重要なことである。
だから、生成AIでのデータ蓄積・活用の重要性を説くことは、AWSの基本に立ち返る差別化戦略でもあるのだ。
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