「超アナログ・労働集約型」な牛乳屋のデジタル化 「ITリテラシーなんか存在しない」環境に元コンサルタント社長が挑む(2/2 ページ)
「超アナログ・超労働集約型」な環境とビジネスモデルに、元コンサルタント社長はどう挑むのか。
スプレッドシート活用術の数々
例えば勤怠の情報は社員がそれぞれGoogle Formからボタン式で入力し、スプレッドシートで集計。関数で欠勤率などを可視化する仕組みにした。「スプレッドシートに直接キーボードで打ってください、なんてことをした瞬間に情報は集まらなくなる。スマホから選択するだけでオッケーだよ、という仕組みにしなくてはいけない」ことを前提に組み立てたという。
todo管理もスプレッドシートだ。工程管理表などを作れる「タイムライン」機能を使って、従業員ごとのタスクを管理しているという。「Asanaなどのプロジェクト管理ツールを何回も試した。しかし、新しいツールを導入すると従業員がイチから新しいツールを覚えないといけない。だからなじみのあるGoogle Workspaceを駆使することを選んだ」
もちろん、幹部が各種指標を確認するときに使うダッシュボードもスプレッドシートだ。シート同士を連携させる関数を使い、経理が使うシート、事務が使うシートなどから数値を抽出・集計している。
マニュアルを閲覧する仕組みもGoogle Workspaceで構築した。といっても、数百ページの情報をドキュメントにまとめて終わり、ではない。Webサイト作成ツール「Google Sight」でWebページを作成し、そこからキーワード検索することで、必要な情報や画像だけを見られる仕組みにした。
「マニュアルは、ほとんどの人が見ない。マニュアルで満足するのは作った人だけ。必要になるのは困ったこと、事故が起きたときだけ。そのときにクイックに参照できることがマニュアルのあるべき姿。検索だけは誰もがやっているので『検索で見つかる』仕組みにするのが重要」
「配達する牛乳を減らしてほしい」といった顧客からの要望を記録するアプリはノーコードツール「AppSheet」で構築した。顧客ごとに割り振ったコードを入力すると、スプレッドシートを参照して顧客名を表示。減らす本数や、変更がその日だけのものなのか、今後もなのか──などを入力すると、内容をスプレッドシートに記録できる仕組みだ。もちろん、いずれもスマホから利用できるようにした。
「末端の牛乳屋ができるなら、という勇気と希望を」
一連の取り組みにより業務効率化を実現したという明治クッカー。営業成果を報告する仕組みも“スプレッドシート化”したため、営業の作業時間も導入前と比べ月15時間削減できたという。4店舗を新規に開くなど、拠点数も拡大したが、すでにバックオフィス業務の効率化が済んでいたことから、事務スタッフの雇用も2〜3人程度で済み、人件費を抑えられた。
「Google Workspaceに限らず、導入したツールを最大限生かせていないケースが多く見受けられる。価値を最大化せずに他のツールを導入しても放置されるだけ。その上で、誰でも使えるようにしなければIT担当者の自己満足で終わってしまう。末端の牛乳屋ができるなら、自分たちもできないはずはないという希望と勇気を持ってほしい」
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