欧州連合、X(旧Twitter)のDSA調査を開始 イスラエル関連の偽情報拡散を受け
EUの欧州委員会は、Xがデジタルサービス法(DSA)に違反した可能性があるとして正式な調査を開始したと発表した。イスラエル・ハマス関連の偽情報の拡散に十分に対処しなかった可能性があるとしている。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は12月18日(現地時間)、米X(旧Twitter)が、8月に発効したEUのDSA(デジタルサービス法)に違反している疑いがあるとして、正式な調査を開始したと発表した。
具体的には、イスラエル・ハマス戦争に関連した偽情報や暴力的な画像がX上で拡散したことが、同社による違法コンテンツへの対策が不十分なためである可能性があるとしている。
DSAは、オンラインサービス分野で消費者と企業により優れた保護を提供することを目的とした法律。MAU(月間アクティブユーザー数)が4500万人以上のサービスプラットフォームをVLOP(超大規模オンラインプラットフォーム)およびVLOSE(超大規模検索エンジン)と定義し、透明性向上や偽情報対策を義務付けるというものだ。Xを含む19のプラットフォームが対象となっている。
違反した場合、最大で年間売上高の6%の制裁金が課せられる。
DSAに基づく正式調査が行われるのはこれが初。競争政策担当上級副委員長のマルグレッタ・ヴェスタヤー氏は、「大規模なプラットフォームが社会にもたらすリスクが高ければ高いほど、DSAの要件はより具体的になる。われわれはルール違反を非常に深刻に受け止めており、われわれが現在持っている証拠は、Xに対して正式に訴訟を起こすのに十分だ」と語った。
Xはこれを受けてX上で「Xは、表現の自由を保護しながら、プラットフォーム上のすべてのユーザーにとって安全で包括的な環境を構築することに重点を置いており、この目標に向けてたゆまぬ努力を続けている」という声明をポストした。
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