「2024年は生成AI飛躍の年」──日本マイクロソフトが予告 推奨するのは“AIの筋トレ”(3/3 ページ)
日本マイクロソフトは2月20日、生成AIに関する企業向けイベント「Microsoft AI Tour」を東京ビッグサイトで開催した。日本マイクロソフトの津坂美樹社長は「AIを語る段階を卒業し、スケールさせ、フル活用の1年になる」と話した。
全社でGitHub Copilotを導入、独自AIも挑むサイバーエージェント
サイバーエージェント(CA)からは、サイバーエージェント執行役員の長瀬慶重さんが登壇した。CAは、GitHub Copilotをいち早く全社のエンジニア向けに導入している企業で、現在は日本語LLM「CyberAgentLM2(CALM2)」をAzure AI基盤を活用して開発している。
GitHub Copilotは23年3月にリリースされたが、CAでは長瀬さんがすぐに役員決裁を取り、エンジニアは1000人以上が所属する開発部隊に導入することを決定した。これにより、デベロッパーの生産性が大きく高まり、1年間で約10%向上したという。
長瀬さんは「3年後には導入前の50%向上、つまり1人のエンジニアが1.5倍働ける状況になる。そうすれば、エンジニアはもっとクリエイティブな仕事ができるので、いわゆるAIに任せるところは積極的に任せて、もっとエンジニアがクリエイティブに仕事ができるようになる」と期待を述べた。
CAがGitHub Copilotを使いこなしている理由は決断の速さだけではなく、浸透させるための施策も複数行っている。1つには、GitHub Copilot導入支援の専門部署を設けて、何人の従業員が利用しているのかを常にモニタリングする体制を構築。積極的に活用している部署があったら、その部署の事例を全社向けに共有するといった活動を行った。また、賞金1000万円のアイデアソンを実施して、全社で生成AIを活用する機運を高めた。
同時に、生成AIツールで懸念されるコンプライアンス上の課題については、CAは役員を含む全員に研修を実施している。より実践的には「使ってはいけないツール集」の情報を取りまとめて、社内で共有することで対策しているという。
長瀬さんは企業で生成AI活用に取り組む人へのアドバイスとして「3年後に生成AIを徹底活用している企業とそうじゃない企業を比べてみたときにどっちがすごいか。これはもうシンプルで、生成AIを徹底活用している会社しか生き残れないし、それが競争優位性につながると思う」と述べた。
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