ソフトバンク、LINEヤフー株の追加取得で韓国ネイバーと協議 総務省「次回の報告をしっかり確認したい」
情報漏えいで揺れるLINEヤフーの資本関係について、ソフトバンクの宮川潤一氏(同社代表取締役社長執行役員 兼 CEO)は、5月9日の決算会見でLINEヤフーの株式取得を含めた協議を韓国NAVER側と行っていることを明かした。具体的な比率についてはまだ決まってないとしている。
情報漏えいで揺れるLINEヤフーの資本関係について、ソフトバンクの宮川潤一氏(同社代表取締役社長執行役員 兼 CEO)は、5月9日の決算会見でLINEヤフーの株式取得を含めた協議を韓国NAVER側と行っていることを明かした。具体的な比率についてはまだ決まってないとしている。
宮川氏は「LINEヤフーからの強い要請を受けたので、親会社としてLINEヤフーのセキュリティガバナンスの強化はどういったものが良いのか、われわれ自身の事業戦略という観点も含めて真剣に議論している」「そのなかでNAVERとの資本見直しという協議も進めたい旨をこちらから申し上げており、テーブルに着いて頂いている」とし、資本関係見直しの交渉に入っているという。
この議論はもともと、23年10月にLINEヤフーが発表した不正アクセスによる情報漏えいに端を発するもので、同社と韓国の関連会社NAVER Cloud委託先企業の従業員PCがマルウェアに感染したことをきっかけに、NAVER CloudのADサーバも感染。その管理者権限や、LINEヤフーのADサーバの認証情報が奪取され、不正アクセス被害につながったとみられている。
この件に関し、LINEヤフーは24年3月に総務省から行政指導を受けており、同社は4月に報告書を提出。NAVERのシステムとの分離を進める他、「NAVER側から資本的な支配を相当程度受ける関係の見直し」について親会社などに働きかけていくとしていたが、対応が不十分として追加の行政指導を受ける事態に。総務省は資本関係の見直しを含めた対応策について、7月1日までの報告を求めている。
LINEヤフーはNAVERとの委託関係を終了する方針を決めたのに加え、親会社のソフトバンクとNAVERに対し資本関係の見直しを要請。両親会社は交渉を進めており、「7月1日に間に合えば間に合わせたい」(宮川氏)としているものの、出資比率や時期については現時点で固まっていないという。「(NAVER側の)考え方もあるし、私どもとしても踏み込む金額、サイズがあるので、それも含めてよく話し合うしかない。私の直感的には7月にまとめるのは非常に難易度が高い」と述べる。
ただ、NAVER側は議論に協力的な姿勢を見せており、7月までに答えを出すよう努めるという。「今50:50でお互い持ち合っているので、1株でも動けばどちらかがマジョリティになる」「1株から全株(取得)までの議論になるかと思うが、私どもも事業会社ですから、その投資に見合うかは冷静に判断させていただく。我々の事業の展開に影響ない範囲内での交渉にしたいと申し上げている」(宮川氏)
総務省「経営権の視点から資本の見直しを求めたものでなはい」
10日、松本総務大臣は閣議後記者会見で、LINEヤフーがネイバーとの委託関係を終了する方針を決定したことに関し、行政指導の意図として「通信の秘密を含む情報の漏洩というセキュリティ上の重大な事案が発生したことを踏まえて、総務省において、再発防止策の徹底、利用者の利益の確実な保護を求めるもの」と説明。
「安全管理措置等の強化、そして、資本的な支配を相当程度受ける関係の見直しや、親会社等を含むグループ全体でのセキュリティガバナンスの本質的な見直しの検討の加速化などの措置」を求めたとする。
一方で、日本がNAVERからLINEヤフーの経営権を奪おうとしているなどの批判が韓国から出ていることに対し、「資本的な支配を受ける関係の見直しや、親会社等を含むグループ全体でのセキュリティガバナンスの本質的な見直し」をより加速させるように求めたもので、「経営権といった視点から資本の見直しを求めたものでなはい」としている。
LINEヤフーが会見の中で、セキュリティガバナンスの強化に言及したことで「委託先管理が適切に機能する形となることが重要な中、どのような見直し方策をとるか、総務省としてはLINEヤフー社が次回の報告でどのように報告するか、しっかり確認していきたい」と述べた。
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