Google、AIによる排出量増加で2030年カーボンフリー目標達成に暗雲
Googleは、2024年の環境報告書で、同社が掲げる「2030年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロに」という目標の達成が、AIの急速な需要増加で「重大な不確実性」に瀕しているとした。
米Googleは7月2日(現地時間)、2024年の環境報告書(PDF)を公開した。これによると、同社が掲げる2030年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという目標の達成が、AIの急速な発展と需要増加で困難に直面しているという。
この報告書によると、2023年の温室効果ガス排出量は2019年と比較して48%増加した。この増加は主に、データセンターのエネルギー消費量とサプライチェーン排出量の増加が原因であり、特にAIの進歩と需要の高まりがその背景にあると説明している。
Googleはまた、2023年のデータセンターの総電力消費量が17%増加したことも報告しており、AIの進化に伴い、この傾向は今後も続くと予想している。
同社はAI時代の到来に備えてTPUなどの効率的なインフラストラクチャを構築しており、Googleのデータセンターは、一般的な企業のデータセンターと比べて約1.8倍のエネルギー効率を実現しているという。
Googleは、AIモデルの最適化、効率的なインフラの構築、排出量削減という3つの主要戦略によって、AIの環境負荷の管理に取り組んでいるが、AIの普及率、環境負荷を軽減する技術の進歩、技術革新と効率化の速度など、多くの不確定要素が存在するため、目標達成には「重大な不確実性」があると認めている。
米Microsoftも5月に公開した2024年の環境持続可能性レポートで、主にデータセンターの建設で2020年以降、総炭素排出量が約30%増加したと報告した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「アースデイ」のGoogleロゴは地球の航空写真から集めた文字で
4月22日は「地球の日(アースデイ)」。Googleの検索ページのロゴが、地球上でアルファベットに見える航空写真を集めたものになった。
Google、検索やマップにSDGs(持続可能な開発目標)な新機能
Googleは、ユーザーの持続可能な選択をより簡単にするための複数の新機能を発表した。「気候変動」の検索結果に高品質な情報を表示したり、マップで燃料効率のいいルートを提案したりする。
Google、2030年までに100%カーボンフリーになる目標を宣言
Googleが、2030年までに自社のデータセンターやオフィスで使うエネルギーを100%カーボンフリーにすると宣言した。また、過去の排出量をすべて排除し、カーボンフットプリントをゼロにしたとも発表した。- Google、クリーンエネルギー提案「Clean Energy 2030」を発表
Googleは、石炭、石油、天然ガスによる発電をクリーンエネルギーに置き換えることを提案している。
