ITmedia デジタル戦略EXPO 2024夏 開幕!
経営×IT×事業のコラボレーション――変革を進めるためのオンライン展示会
いよいよ開幕する「ITmedia デジタル戦略EXPO 2024 夏」。デジタル経営戦略やAI活用、業務効率化など10カテゴリーをラインアップし、ビジネスパーソンが“今”知りたいデジタル戦略の最前線を探求します。本記事では、見逃せない基調講演の内容を一部お届けします。
かつて花形と言われた営業職。コロナ禍前までの営業職の業務スタイルと言えば、企画書を自ら作成し、毎日のように取引先へ出向いて提案する。帰社後は商談の進捗を記録して社内で共有するものだった。もちろんそれ以外にも社内調整や接待、提案のための下調べなど、細かい点を挙げればきりがない。
筆者もかつて営業職を経験した一人。上司からのアドバイスや自身の経験を基に独自の提案方法を編み出し、「社内の誰よりも売れるトップセールスパーソンになりたい」。筆者を含めそのような目標を抱いている(いた)人も多いはずだ。しかし、コロナ禍を経て働き方が多様化し、さまざまなツールが登場したことで営業職の働き方や考え方が様変わりした。単に“一人に頼る”営業組織では生き残れなくなったのだ。
特に生成AIの登場は、営業職のみならず企業全体の在り方を変えるインパクトを与えた。「人の仕事がなくなるのではないか」。漠然と不安を抱える人もいるだろう。
ITmedia主催のオンラインイベント「デジタル戦略EXPO」(7月9〜28日)に登壇する村尾祐弥氏(Magic Moment 代表取締役CEO)は「2030年を待たずに企業の定型業務はほぼ全て自動化されていくことも考えられます」と指摘する。
Magic Momentの考察では、2025年には労働市場においてAI活用の影響が顕在化し、企業の業績に影響を及ぼし始めるとしている。営業組織ではAI活用における業績への貢献事例が登場し、AI戦略の策定が経営のトップアジェンダになると言うのだ。つまり2025年までに進めたAI活用の成果が、業績の明暗を分けることになる。
ではAI時代の営業組織はどうなるのだろうか。村尾氏は、営業組織は「人を中心に捉えていくべきだ」と話す。
AI時代、営業組織に求められることは?
「皆さんが直近の商談で交わしたお客さまとの会話を思い出してください。表情やタイミング、声のトーンを含め、これと全く同じ内容は二度と再現できません。人とAIの協業のベースには、お客さまのために“人”にしかできない非定型業務への集中が必要になります」
つまり、人にしかできない業務をこなすために、AIを活用してワークフローの大半を短縮、自動化し、業務を効率化すべきなのだ。
「既存のワークフローが崩壊すると、今までのテクノロジーの細かな機能比較に何の意味もなくなります。現在の営業の主要なワークフロー自体が自動化されたり結合したりして、プロセス全体の姿は様変わりするはずです」
では今後AIは営業現場でどのように実装されていくのか。村尾氏は、3つのエリアで適用されていくと指摘する。
1つ目が、営業担当をサポートする「AI Assistant」。2つ目が、営業活動自体を自動化しながら担当者に力を与えていく「AI Empowered Sales」。そして3つ目が「AI sales Manager」。AIが営業マネジャーの業務を代替していくものだ。
その結果、人の役割は例外ケースへの対応や品質担保、顧客とのコミュニケーションなどに集中する。村尾氏によると、既に米国のスタートアップなどではAIを営業活動にうまく取り入れ、商談獲得までを自動化しているという。
やはりここでも気になるポイントは、AIによって人の仕事がどこまで代替されるのかだ。私たちの仕事が奪われ「人 vs. AI」のような対立構造にならないのだろうか。
この疑問に対し、村尾氏は「対立構造が生まれる前提となる世界観自体が変化するはずです」と予測する。世界観が変わった先の新しい働き方とは。AI活用を前提とした営業スタイル、組織運営の在り方とは。詳細はデジタル戦略EXPOで確認してほしい。
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