アニメ制作市場、過去最高3400億円規模に成長も業界内で進む“二極化”──帝国データバンク調査
帝国データバンクは27日、2023年のアニメ制作業界の市場規模が、過去最高の3390億2000万円(事業者売上高ベース)になったとする調査結果を発表した。劇場版のヒットが貢献した。
調査会社の帝国データバンクは8月27日、2023年のアニメ制作業界の市場規模が、過去最高の3390億2000万円(事業者売上高ベース)になったとする調査結果を発表した。劇場版のヒットが貢献した。
前年の2757億8300万円を22.9%上回り、初めて3000億円を突破した。アニメーター不足による制作スケジュールの遅延といったマイナス要素を抱えながらも、安定したテレビアニメの制作本数と、動画配信サービス事業者向けの大型案件が市場拡大に貢献した。
劇場用アニメも新海誠監督の「すずめの戸締まり」などヒットに恵まれた。興行収入の増加がアニメ制作各社の業績を押し上げた。
ただし、アニメ制作会社のうち、直接制作を受託して完成させる能力を持つ「元請・グロス請」と呼ばれる業態の収益力改善が顕著で半数以上(51.7%)が黒字だったのに対し、下請けとなる「専門スタジオ」では37.5%にとどまった。赤字の企業は元請・グロス請が22.4%に対し、専門スタジオは43.1%に及んだ。
帝国データバンクは「グッズなどのアニメ市場が活性化する一方で、(自社IPの有無で)こうした恩恵を享受できない中小アニメ制作会社が一定数存在するなど二極化が進んでいる」と指摘。「元請制作と異なりコスト増分をIP収入などでカバーできなかったことが、赤字となった専門スタジオの割合が増加した遠因となった」という。
24年も引き続きアニメ制作の引き合いは強く、活況が続く。帝国データバンクは24年も23年と同水準の3400億円前後で着地するとみている。
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