米司法省、大統領選への干渉でロシアドメイン差し押さえ、RT職員を起訴
米司法省は、ロシア政府による米大統領選への干渉対策の一環として、分断を増長する動画を配信した32ドメインの差し押さえとロシア国営放送RTの職員2人の起訴を発表した。動画はYouTubeだけでも1600万回以上再生されたとしている。
米司法省(DoJ)は9月4日(現地時間)、ロシア政府主導の外国への悪意ある影響力行使キャンペーン(通称「ドッペルゲンガー」)で使用された32のインターネットドメインを、米国のマネーロンダリングおよび商標法に違反したとして差し押さえていると発表した。
また、「ロシア政府のメッセージを隠したコンテンツを米国の視聴者向けに配信した」2人のロシア国営メディアRTの職員を起訴したことも発表した。2人は現在逃亡中としている。
メリック・ガーランド司法長官は発表文で「今日押収した施設には、ウクライナに対する国際社会の支援を減らし、親ロシア政策と利益を強化し、米国やその他の国の有権者に影響を与えるためにクレムリンが作成したロシア政府のプロパガンダが満載だった」と語った。
アントニー・ブリンケン国務長官は発表文でロシア政府の干渉を非難し、「本日の発表は、一部の外国政府が米国の民主的制度を弱体化させるためにどれほど努力しているかを浮き彫りにしている」と語った。
DoJによると、RTは米テネシー州のオンラインコンテンツ制作会社に約1000万ドルを投じ、米国の分断を増幅させるような英語の動画約2000本を制作させた。これらの動画をYouTube、TikTok、Instagram、Xなどに投稿し、YouTubeだけでも1600万回以上再生された。
米国は2016年と2020年の大統領選挙でも、ロシアを選挙干渉で非難している。
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