「自然災害不安」にポータブルバッテリーを 新製品を大量投入したECOFLOWを“防災目線”で見る:小寺信良のIT大作戦(2/5 ページ)
8月の発表会で新製品を大量投入したポータブルバッテリー大手の中国ECOFLOW。地震や台風など災害意識の高まりにつれ、ポータブルバッテリーへの注目度も上がっている。今回は特に防災目線で、ECOFLOWの新製品をチェックしてみたい。
Delta 3 Proは、Delta 2とほぼ同サイズで、容量も同じ1kWh、出力も1500Wと同じだが、高速充電と拡張性が加わった。AC電源からの充電では業界最速となる56分でフル充電できる。
充電が早いメリットは、ヤバい停電するかも、と思った時から充電を始めても間に合うところである。まだ家に帰り着いていない時でも、スマホアプリで充電開始をリモート操作できる。
加えてアプリでは、新たに「Storm Guard」機能を搭載した。アプリが気象情報をウォッチし、12時間以内に悪天候となる場合にはユーザーに通知を出して充電を促す機能である。
さらにソーラーパネル入力が2系統となり、500W+500Wで約70分でフル充電となる。ソーラーパネルは、たくさんつなげばたくさん電力が得られることは当たり前だが、複数のパネルを接続する際に、直列よりも並列の方がメリットが高い。直列は接続が簡単だが、片側が日陰になるだけでもう片側の出力も下がるという欠点がある。
並列つなぎではそのようなデメリットはないが、2又になったケーブルを別途用意する必要がある。2枚までならそう難しくないが、3枚、4枚となると、もうトーナメント表みたいな配線になっていくので、大変ややこしい。そうなるのも、多くのポータブルバッテリーにはソーラーパネルの接続口が1系統しかないからである。
Delta 3 Plusはソーラーパネル接続で広く普及しているXT60を2系統にしたことで、2枚つなげば普通に並列つなぎになる。この程度の中型機ではなかなかない仕様だ。
もう一つの電源入力として、車用オルタネーターチャージャーを使っても、1時間20分でフル充電できる。車からの充電ではシガーソケットからの充電が一般的だが、これだとせいぜい8A程度しか取れないので、時間がかかる。オルタネーターチャージャーは、車の発電機の余剰電力を取りだして800W出力できるので、このスピードというわけだ。
車で避難するというケースはそれほどないにしても、家屋がダメージを受けた場合、大型車やキャンピングカーなどを所有している方は、車内に一時避難することは考えられるだろう。EV車じゃなくてもエンジンをかければ高速充電できるのは、備えとしては検討に値する。
出力としては1500W、最大サージ3000Wなので、家庭用エアコンも駆動できる。容量拡張という面でも、Delta 3 Pro用の4kWh拡張バッテリーと組み合わせられるようになった。単体でも冷蔵庫は動かせるが、合計5kWhあればエアコンを動かす事も視野に入ってくる。真夏の停電で、数時間でもエアコンが動かせるのは大きい。
Delta 3 Plusの重量は約13kgなので、男性ならなんとか1人で持てないこともないが、これを持って逃げるのは非現実的だろう。拠点となる家庭や車に据え置きと考えるべきだ。
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