欧州委員会のデジタル市場担当、ティエリー・ブルトン氏が辞任
欧州委員会でデジタル市場法(DMA)やデジタルサービス法(DSA)の策定に関わったティエリー・ブルトン委員が「欧州委員会内部の問題ある統治方法」への不満を表明し、辞任した。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会でデジタル市場を担当してきたティエリー・ブルトン氏は9月16日(現地時間)、Xで辞任を表明した。
まず白紙の額縁の画像に「速報:私の次期欧州委員会の公式ポートレートはこちら」というコメントを添えてポストした後、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長への辞表の画像に同僚への感謝の言葉を添えてポストした。
辞表には「欧州委員会内部の問題ある統治方法を考慮すると、私はもはや委員としての職務を遂行することができない」とある。
7月に2期目続投が決まったフォン・デア・ライエン氏は新たな欧州委員会のトップチームを編成するに当たり、加盟国に委員として男女両方を指名するよう求めていた。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ブルトン氏のみを委員に指名したが、ブルトン氏によると、フォン・デア・ライエン氏が「より強い職務と引き換えに別の候補者を指名するようフランスに圧力をかけた」という。
ブルトン氏は2019年12月から欧州委員を務め、デジタル市場法(DMA)やデジタルサービス法(DSA)の策定で、競争政策担当上級副委員長のマルグレッタ・ヴェスタヤー氏とともに重要な役割を果たした。
フォン・デア・ライエン氏はXに「ティエリー・ブルトン氏の辞任を受諾し、委員としての在任期間中の彼の働きに感謝する。域内市場ポートフォリオおよび関連するすべての責任は、マルグレッタ・ヴェスタヤー氏が任期終了まで引き継ぐ」とポストした。
ヴェスタヤー氏は既に次期欧州委員会の選挙から撤退しており、任期は2024年いっぱいの見込みだ。
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