「Godot Engine」公式による“大量ブロック”騒動 「過去に集団嫌がらせ事件があった」と釈明
ゲームエンジン「Godot Engine」のユーザーを支援する非営利コミュニティ・Godot Japanは1日、XのGodot Engine公式アカウントが、9月末にユーザーを大量にブロックした件について声明を発表した。
ゲームエンジン「Godot Engine」のユーザーを支援する非営利コミュニティ・Godot Japanは10月1日、XのGodot Engine公式アカウントが、9月末にユーザーを大量にブロックした件について声明を発表した。Godot Engineの開発に影響はないとしている。
声明ではまず「日本では馴染みがないかもしれませんが、海外のゲーマー界隈では過去にポリティカルコレクトネスに関する大きな集団嫌がらせ事件があり、未だにその影響が強く残っています。今回の件においては、トランスジェンダーであるコミュニティマネージャーのNat氏が標的となり、集団での個人攻撃が行なわれていたという状況があった事をお伝えしておきます」と過去のできごとを紹介。
その上で、今回の大量ブロックは、暴言を浴びせたり、それを拡散したりしたアカウントをブロックしたものだと釈明した。ただし、意図せず拡散しただけの無関係なユーザーも巻き込まれているため、問い合わせがあれば解除する方針も示した。
きっかけは“Woke”
ことの発端は9月27日、Godot Foundationが運営するXの「Godot Engine公式アカウント」が、政治的なニュアンスを含むポストを行ったことだった。「最近のゲームエンジンは“Woke”(目覚めた)だって? それなら言うことはない」。これはあるゲームスタジオが「Unreal Engine 5」を使っているとするやりとりの中で、あるユーザーがポストした「目覚めたゲームスタジオはゲームエンジンを開発する能力がないから既製品を使うのだ」という投稿に対して行ったものだ。
X上では、このやり取りについて「(Godot側は)100%誤解している」とする指摘もあるが、他にも多くのリプライが殺到した。Godot Foundationは「スタッフやコミュニティに向けられた嫌がらせの波を引き起こした。私たちはこの虐待を明確に非難する」とする声明を発表している。
Woke(目覚める)は、いわゆるポリコレやDEI(多様性)に力を入れる企業や人を指す言葉。本来は悪い意味ではないが、近年はその考え方や方法論を巡って衝突が起きることも多く、そうした人々を揶揄(やゆ)する意味で使われることも多い。
Godot側は、X上に流れる「大量ブロックはGodotのX担当者が独断で行った」とする言説を否定し、マネジメントチーム内で決定したことだと明らかにした。「Godotのポリシー的にはあくまで個人攻撃を許さないのであって政治的には常に中立」(Godot Japan)という。
なお、政治的に中立としながらGodot Engineの公式Xアカウントで“Woke”に言及した意図は明らかにしていない。ただ「Wokeというネタも(マネジメントチームの)他のメンバーが反対したりはしていない」(Godot Japan)としている。
Godotは、アルゼンチンのソフトウェア開発者、Juan Linietsky氏らが開発した2D/3Dゲームエンジン。2014年に公開され、オープンソースでPCやスマートフォン、Webブラウザなどで動作するゲームが作れることから、近年はPC向けのインディーゲームを中心に採用されるケースが増えている。
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