Google、Kairos Powerと原子炉電力購入の契約 「AI開発の加速に役立つ」
AIに注力するGoogleは、自社のデータセンターに電力を供給するため、米原子力新興企業Kairos Powerが開発する小型モジュール炉から原子力エネルギーを購入する契約を結んだと発表した。AI開発の加速に役立つとしている。
米Googleは10月14日(現地時間)、自社のデータセンターに電力を供給するため、米原子力新興企業Kairos Powerが開発する7基の小型モジュール炉(SMR)から原子力エネルギーを購入する契約を結んだと発表した。
Googleは、10年以上前に再生可能エネルギー電力の企業購入契約を開始し、次世代の高度なクリーン技術を含むクリーンエネルギーソリューションを加速してきたという。この契約は、エネルギーニーズをクリーンかつ確実に満たし、すべての人にとってAIの潜在能力を最大限に引き出すための新しい技術の加速に役立つとしている。
Kairos Powerの技術は、溶融塩冷却システムとセラミックのペブル型燃料を組み合わせて、蒸気タービンに効率的に熱を輸送して電力を生成するというもの。この受動的に安全なシステムにより、原子炉を低圧で作動させることができ、よりシンプルで手頃な価格の原子炉設計が可能になるとGoogleは説明する。
Kairos Powerは今夏、米原子力規制委員会から建設許可を受けた最初の米先進原子炉プロジェクトである、テネシー州の非動力実証炉の起工式を行った。
Googleが注力するAI技術の開発、維持には膨大な電力源を必要とする。同社は7月に公開した2024年の環境報告書で、2030年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという目標の達成が、AIの急速な発展と需要増加で困難に直面していると説明した。
同社だけでなく、米MicrosoftもAI向けの電力確保のため、復活するスリーマイル島原子力発電所1号機の電力を独占購入する20年契約を9月に発表した。
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