Amazonも次世代原子力発電所(SMR)開発に投資 MicrosoftとGoogleに続き
Amazonは、次世代型原子力発電小型モジュール炉(SMR)の開発や建設を支援するため米2社と契約したと発表。原発の近くに新データセンターを建設する契約を3月に結んだことも発表した。
米Amazonは10月16日(現地時間)、米国での次世代型原子力発電小型モジュール炉(SMR)の開発や建設を支援するため、米3社と契約を結んだと発表した。生成AIの開発・運営などで増大するエネルギー需要に対応する狙い。
SMRは、従来の原子炉よりも物理的な設置面積が小さく、送電網の近くに建設できる先進的な原子炉。建設期間も従来の原子炉よりも短いため、より早く稼働させることができる。
ワシントン州では、州の公共事業体コンソーシアムであるEnergy Northwestとの合意により、4基のSMRの開発を支援する。
バージニア州では、電力会社Dominion EnergyとSMRプロジェクトの開発を検討する契約を締結した。
ペンシルベニア州では、電力会社Talen Energyの原子力施設の隣にデータセンター施設を併設することで、データセンターをカーボンフリーエネルギーで直接稼働させ、既存の原子炉の維持に貢献する契約を締結した。これについてはこれまでAmazonの公式発表はなく、複数の米メディアが報じた。
Amazonは、2040年までに事業全体でネットゼロカーボンを達成するという「気候変動対策に関する誓約(The Climate Pledge)」を掲げており、2030年までに事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うという目標は7年前倒しで達成済みだ。
だが、事業と顧客のエネルギー需要は増加し続けているため、SMRのようなカーボンフリーエネルギーの新たな供給源の確保にも取り組んでいるとしている。
Amazonだけでなく、米Microsoftや米Googleもカーボンフリーエネルギー源として原子力に注目し、投資を始めている。
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