米連邦取引委員会、サブスクの簡単解約を企業に義務付ける「Click to Cancel」施行へ
米連邦取引委員会(FTC)は消費者が定期購読や会員登録を簡単に解約できるようにする法的拘束力のあるルール「Click to Cancel」を正式に発表した。1クリックで加入できるサービスであれば、1クリックで解約できるようにしなければならない。
米連邦取引委員会(FTC)は10月16日(現地時間)、消費者が定期購読や会員登録を簡単に解約できるようにする法的拘束力のあるルール「Click to Cancel」を正式に発表した。ほとんどの条項は連邦官報に掲載されてから180日後に施行される見込みだ。
FTCによると、ネガティブオプション(顧客の沈黙や特定の行動を取らないことを、商品やサービスの購入や契約の承諾とみなす販売方式)や定期購読に関する苦情を毎年数千件受理しており、その数は過去5年間で着実に増加しているという。
販売者はこのルールで、消費者が登録するのと同じくらい簡単に登録を解約できるようにすることが義務付けられる。つまり、例えばWebサイト上でボタンをクリックするだけで加入できるサービスであれば、同様にWebサイト上のボタンをクリックするだけで解約できるようにしなければならない。
リナ・カーン委員長はXで「多くの場合、企業はサブスクリプションをキャンセルするためだけに、人々に数え切れないほどの手続きを踏ませている」が、この新ルールで「企業が人々を騙して定期購読を申し込ませたり、定期購読に閉じ込めたりすることを禁じる」ので、「米国民は時間とお金の節約ができるだろう」と語った
このルールは、日本企業を含む米国で事業を行うすべての企業に適用される。FTCは、違反した企業に対して法的措置を取ることができ、罰金やその他の制裁が科される可能性がある。
FTCは昨年6月、米Amazonを「プライム」の“詐欺的”な加入/キャンセルプロセスで提訴した。今年の6月には米Adobeを解約困難なサブスクリプションで提訴した。
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