学校用PC「内部に大量の砂」「鉛筆の芯でショート」……ビジネスではあり得ないトラブル、NECの対策は
「端末の内部から、大量の砂が出てきた」「USB端子に鉛筆の芯が突っ込まれ、ショートしていた」。想定外の故障が起きる児童・生徒用の端末。NECの対策は?
「端末の内部から、大量の砂が出てきた」「USB端子に鉛筆の芯が突っ込まれ、ショートしていた」
これは、Chromebook端末の修理依頼で、実在した故障事例だ。といっても、ビジネスや家庭用ではなく、NECが小中学校などに納入している端末で起きたものだ。
政府の「GIGAスクール」構想で2021年度から、全国の児童・生徒に1人1台のコンピュータが配られるようになった。第1期に160万台を学校に納入した実績のあるNECは、大人の利用では考えられない故障例に直面したという。
「普通に使っていたら入らない量の砂が、端末から出てきたことがあった。砂場に埋めたのか……どういう理由かは分からないが」。NECの担当者は話す。
端末には、USB端子やHDMI端子などの“穴”がある。穴を見ると、子どもは何かを入れたくなるもの。端子に鉛筆を入れて壊してしまうケースは、小学生だけでなく、中学生以上でもあるという。
端末の“穴”は端子だけではない。キーボードのスキマに注目し、キートップをはがしてしまう子もいたという。
ただ「砂を入れる」「鉛筆を入れる」「キートップをはがす」など意図的な誤用によるトラブルはレアケース。故障事例として最も多いのは、落下などによる天板やディスプレイなどの破損だ。
学校の机は、端末と教科書やノートなどを広げて使うには狭く、端末が落下しやすい。また、端末を運ぶ時に落としてしまったり、カバンに入れて自転車通学する時に激しく揺れたり圧力がかかったりして壊れる、という事例もある。
対策は?
NECが2024年10月に発表した新製品「Chromebook Y4」は、故障事例を基に、大きな開口部を減らした。例えば、Type-AだったUSB端子はType-Cに変更。HDMIポートは排除した。
右利きの子が多いことを前提に、端子はすべて左側に集約。鉛筆の芯が誤挿入しにくいよう、端子の開口部の高さを、机の上に置いた鉛筆の芯よりも高い位置に変更した。
キートップの周囲の隙間は、従来の0.6mmから0.5mmへ変更し、キーボードをはがしにくくした。
ゴム足の接地面積を拡大して落ちにくくし、落としても天板を壊れにくくするため、端末の外周を弾力があり強い素材(TPU)で覆った。
さらに、「ランドセルやカバンに端末を押し込んで自転車のかごに入れて運ぶ」というケースも想定。従来から行っていた加圧試験、振動試験に加え、加圧しながら振動させる「加圧振動試験」も行った。
とはいえ、「砂を入れる」「鉛筆の先を端子に押し込む」など、意図的な誤用の対策には限界がある。子ども向けに使い方を案内するリーフレットも用意し、無茶な使い方をしないように啓発していくという。
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