積もる前に動き出す「除雪ドローン」の仕組みと狙い(2/2 ページ)
「Japan Mobility Show」のスタートアップコーナーで面白いモノを見つけました。エバーブルーテクノロジーズの「除雪ドローン」です。
ただ、雪が積もっている冬の外で遠隔操作で動かすということはそんなに簡単なことではありません。地面が凍ってしまったりするでしょうし、そもそも多少の段差ぐらいで動かなくなってしまっては困るわけです。
そこで、SRD-F11RCは1000Wのパワーを持つ4モーター4輪駆動を採用。さらにローリング・リジッド・フレームと呼ばれる車体のおかげで、常に4輪が接地することができるため、20cmの段差や斜度30度の法面(盛土などで作られる人口的な斜面)でも安定した走行を実現しています。
さらにワンボックス車も牽引できるほどのパワーを持っています。つまり、オフロードを前提とした設計となっているわけです。もちろん、電動駆動システムです。
そして、この除雪ドローンがすごいのは遠隔操作だけではなく、自動運転のオプションを予定しているところです。いや、むしろこっちの自動除雪運転こそ本丸といっていいかもしれません。これが実現されると大型液晶付専用コントローラーで、除雪ドローンが自動でルートを決めて除雪作業を進めてくれるというわけです。
12月に自動除雪βテストの実施が予定されており、25年6月には自動除雪機能アップグレードユニットの販売も予定されています。これは、先行して発売されるSRD-F11RCにも自動除雪機能を追加可能なアップデートです。
つまり、来年の冬からは、雪が降り始めると同時に除雪ドローンが自動的に動き出し、人が外出する時には除雪が終わっているという光景がいろんなところで見ることができるようになるかもしれません。
そして、陸上を自動で、しかもこの登坂力で走破できるモビリティというのは、なにも除雪だけで使うものではないことは容易に想像できます。実際、ブースで実機を見ているとたくさんの人がやってきては「これはあれで使えるね、あそこで使えるね」という話をしていました。いやあ、その気持ち分かります。
最後に実はこのSRD-F11RC。すでに、簡単にワイドトレッド、ロングホイールベース化することもできるようになっており、それを実装すると。これを使うと、なんと39度の登坂と42度の傾斜角をこなすとのこと。
この除雪ドローン、まじですごいぞ。
除雪ドローン遠隔操縦モデル(SRD-F11RC)主な仕様
サイズ: 0.65(全幅)×1.11(全長)×0.6(全高)m
重量: 80kg
最高速度: 前進6km/h、後進6km/h
稼働時間: 3時間(常温、平坦路)
除雪幅: 0.6m
ブレード高:0.2m
バッテリー: 12V鉛蓄電池×2
駆動モーター: DC24V 250W×4個= 1000W
価格: 98万円(税、送料別)(先行予約特別価格88万円、限定100台)
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