HHKBキラー? 東プレ「REALFORCE RC1」を試す 小型ながら“絶妙に分かってる”キー配列とは:小寺信良のIT大作戦(4/4 ページ)
静電容量スイッチの本家といえば、東プレの「REALFORCE」である。この10月に、いわゆる70%サイズといわれる配列で、REALFORCE RC1というシリーズが投入された。早速使ってみているところだが、小型キーボードの代表格である「HHKB」に、いまひとつ乗り切れなかったユーザー必見の製品といえそうだ。
ようやく進化し始めた日本語入力
この機会に日本語入力に関しするもう1つトピックスをご紹介したい。23年5月に公開したコラム「そろそろ「日本語入力」にもAIパワーを注入してみないか?」において、日本語入力およびその変換結果について、もう少しAIが利用できないのか、という話を書いた。もちろん変換エンジンの最適化にはディープラーニングが使われているのだろうが、入力しているまさにこのライブな瞬間に、もうちょっと全体の文脈を見ながら同音異義語を判断して適切な漢字を出力してくれてもいいんじゃないか、という話である。
これに関して、現在進行中のプロジェクトがある。現在iOS/iPadOS向け日本語入力キーボードアプリを開発している三輪敬太氏が、macOS向けのニューラル日本語入力システム「azooKey on macOS」の開発も並行して行っている。従来の古典的手法によるかな漢字変換に加え、完全ローカルで動作するニューラルかな漢字変換エンジン「Zenzai」を組み込んだ格好の「AzooKeyKanaKanjiConverter」がその中身だ。
実は5月の段階でも既にこのプロジェクトはスタートしており、α版も公開されていたが、まだ動作速度が遅く学習機能もなかったため、紹介を見送っていた。だが24年6月に独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の「未踏IT人材発掘・育成事業」の2024年度のプロジェクトに採択されたこともあり、開発は順調に進んでいるようだ。
最新の「v0.1.0-alpha.11」を試してみたところ、動作速度も大幅に改善されており、ライブ変換ながらも誤変換の少ない入力ができるようになっていた。文脈を読むというアプローチが、日本語入力において効果が高いということが分かる。Macユーザーの方は、一度試してみる価値がある。
現在日本語入力環境に欠けているのは、個人に対する最適化だ。人それぞれ入力の癖はあるだろうし、文章の目的も違う。加えてデバイスが変わるごとに入力装置や日本語変換エンジンが変わる。そんな中でも一定のクオリティーを出すために、人間側が苦労して、汎用システムに自分を合わせるという方法を取ってきた。
こうした状況を少しでも変えていくという意味でも、どのデバイスを使ったとしてもキーボードは共通だったり、変換エンジンが自分に最適化してきたりといった傾向は、歓迎すべきだろうし、応援もすべきであろう。
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