2人世帯向け3Dプリンター住宅の1号棟が能登・珠洲市内で竣工 「生活再建のイメージに」
セレンディクスは、2世帯向けの3Dプリンター住宅「serendix50」の販売1号棟が石川県珠洲市で竣工したと発表した。低コストを生かし、復興住宅のモデルルーム的に活用する。
セレンディクス(兵庫県西宮市)は、2世帯向けの3Dプリンター住宅「serendix50」の販売1号棟が石川県珠洲市で竣工したと発表した。550万円(税、基礎、内装、電気工事などは別途)という低コストを生かし、復興住宅のモデルルーム的に活用する。
延べ床面積50m2の平屋建てで、間取りは1LDK。珠洲市内で電気や水道といったライフライン事業を展開し、今回の施主でもある三百苅管工(石川県珠洲市)が内装を手がけた。
キッチンや独立したトイレ、バスルームを設け、床や壁にはフローリングや壁紙を貼った。寝室にはシングルベッドを2つ並べ、玄関横にはウォークインタイプの収納スペースも用意している。
セレンディクスによると、三百苅管工とは2023年から1人向けの「serendix10」をグランピング施設として建設する計画を進めていたが、今年1月の能登半島地震で方針を転換。「被災した地域の方々に、生活再建のイメージを持ってもらうため、丈夫かつ安価で建設できる新しい住宅のかたちを伝えたい」という思いから、2人世帯タイプへ変更した。
もともと2人世帯タイプの販売1号棟は長野県佐久市に建設する予定だったが、施主のカスケード東京(東京都港区)の了承を得て珠洲市への建設を優先した形だ。
セレンディクスの飯田COOは、「工事期間中は、多くの地域住民の方にお越しいただき、期待の声を多くいただきました。我々自身大いに励まされたとともに、被災された方々から『一筋の光』と言っていただけたことを大変嬉しく思います」としている。
ただ、48時間以内としていた施工期間については、地震によって隆起した道路などに阻まれ課題を残す結果になったようだ。「結果をしっかりと分析し、復興住宅における施工スピード向上に生かしてまいります」。
完成した3Dプリンター住宅は今後、地元のホテル「notonowa(のとのわ)」の1棟貸しの客室となり、主に3Dプリンター住宅に興味を持つ人向けの宿泊施設として運営される。また金曜日には被災した住民向けの「無料宿泊体験」、日曜日の午後には「見学会」に活用する。
三百苅管工の三百苅卓明代表は「完成以来多くの方々にお越しいただき、ご期待の声を多く頂戴いたしました。『普通の住宅や』実はこれ最高の誉め言葉を頂いていると感じております」としている。今後も検証を重ね、大きな災害にも耐える新たな住宅を提案していく考えだ。
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