どうする? 大学生用パソコンの選び方 「4年通しよりも2年で買い替え」がオススメな理由:小寺信良のIT大作戦(3/4 ページ)
大学進学の際、授業料だ奨学金だといったお金の問題の中で、簡単に考えていると地味にハマるのが「大学生用PCをどうするか」である。来年から大学生になる子供を抱える親として、またPCで30年以上食ってきた技術系ライターとして、大学生が使うPC像にフォーカスしてみたい。
大学生向けPC指南サイトは、信用できる?
こうしたことを踏まえてみると、現在展開されている大学生向けPC選びの指南サイトでよく見かける条件は、ちょっと違うんじゃないかなと思う部分がある。筆者なりに判定してみたので、参考にしていただきたい。
・OSはやっぱりWindows → 大学の要件を確認
メーカーや量販店の扱いはやはり圧倒的にWindows PCが多いので、こうしたお勧めが各所で見られるところだが、大学で使用するPCの要件はあらかじめ公開されている。学校側の都合でWindowsに限定しているところもあるだろうが、WindowsでもMacでもどちらでもよいとするところもある。まずは入学が決定した大学の要件を調べてみるべきだ。
・MS Officeバンドルで安心 → そもそも学生は無料
大学の授業ではWord・Excel・PowerPointあたりは普通に使うことになるだろうが、特にOfficeバンドル版を選ぶ必要はない。
Microsoftでは、教育機関向けに格安で契約できる「Microsoft 365 Education」を用意しており、大学側であらかじめ契約している場合は、学生には無償か廉価で提供されるからだ。大学側で提供していなくても、大学発行のメールアドレスがあれば、Webアプリのみではあるが「Office 365」は無償で利用できる。
・メモリーは文系なら8GB、理系なら16GB → 文系だから少なくていい理由はない
搭載メモリーに関しては、Windowsは比較的少ないメモリーでもそこそこ動くこともあり、文系では8GBでも十分とされている。
とはいえ、教養課程において文系はメモリーが少なくて良いという理由は特に見つからない。例えばフィールドワークで写真や動画の記録を大量に扱うということになれば、むしろ文系の芸術系や伝統文化系のほうが大量に扱うことになるのではないか。
11月に発売された一連のMacでは、メモリー搭載量が最低16GBに改められた。今後のApple Intelligenceへの対応を睨んでの事だろう。一方Microsoftも、Copilotによって知らないうちにAIを使っているといった状況になるかもしれない。大学でAIをどう扱うかに関しても、あらかじめガイドライン等で確認しておくべきだ。
ただ少なくとも理系の情報工学系ではAIを使わないという選択肢はないだろうし、文系でもレポートには使用しないとしても、インタビューやヒアリングで録音した内容をAIで文字起こしするといった使い方は容認されるだろう。
がっつりAIを使うか使わないかはさておいても、OSやブラウザレベルでAIがインテグレートされてくれば、今後WindowsでもMacでも16GBが最低ラインになるのではないだろうか。
・バッテリーは10時間以上あると安心 → モバイルバッテリーがあれば何とかなる
大学で各自PC用のACが用意されていないというのは、当然ありうることだ。丸1日の授業で全部PCを使うとすれば、確かに10時間分あれば十分ではある。
だがそれにより、価格や重量が著しくアップするのであれば、5時間程度を基準にして、あとはモバイルバッテリーとの併用を考えれば済むことだ。むしろバッテリーを2、3個用意しておいて、フル充電した1個は常に大学に置いてあるぐらいの方が安心できる。
その点では、USBーCで充電できるというところはPC選びの条件にしたい。専用ACアダプター以外は受け付けないというのは、論外である。
・ストレージ容量は文系128GB〜、理系256GB〜 → 最低ラインが256GBでは
「Microsoft 365 Education」とも関係する話だが、大学ではこうしたアプリケーションとともに各個人が使えるクラウド領域も提供するところがある。よほどタッチーな研究をしている人は別として、われわれの仕事のデータもほとんどがクラウド領域にあり、ローカルにはリンクしかないという状況になっている。
とはいえ、クラウドと同期するにしても、一時的にはローカル領域が必要になる。クラウド領域が1TBぐらいあるなら、ローカルは256GBぐらいはないと厳しいのではないだろうか。大学生協で手配できるPCでも、最低ラインは256GBに設定してあるようだ。
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